サウジアラビア戦ではフル出場した長友佑都(撮影:岸本勉/PICSPORT)

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珍しいことに、長友佑都は記者からの質問に答えるとき、腕組みをしていた。まるで何かから身を守ろうとしているように見えたのは、それだけ緊張感が高い試合だということなのだろうか。

調子について聞かれた長友は、クラブでのもどかしさを滲ませながら語った。

「練習はしっかりしてますけど、インテルでなかなか試合に出られない状況ですので。でも準備はしっかりしています。こんな状況は去年もあって、そこでもコンディションをなかなか落とさないでやっていましたから、そこは経験があります。こんな時期だからこそ、やれることをやるだけです」

それでもヴァイッド・ハリルホジッチ監督は招集した。特別扱いにも見えるのに呼んだということは、それだけ信頼が厚いということなのだろう。

「監督の選択なので、どうなろうとそれを尊重して、自分のやることをやるだけなので。選んでくれたということで、そのぶん、チームに貢献することだけを考えてやりたいと思います」

そんな答えにくそうな質問にも対応していた長友が、一つだけ記者が質問しようとしているときにかぶせ気味に言葉を発したときがあった。それは長谷部誠の離脱についての話だった。

「僕らのキャプテンで信頼もあるし、経験もあるし、長谷部さんがいないのはもちろん痛いですけど、いないのはもう決まっているので、その議論をしてもしたところで何も変わらないので、勝つことだけに集中して準備を進めたいと思います」

チームも気持ちの切り替えは終わったと言うことだろう。では、一番大切な、どんなゲームになると読んでいるのか。

「アウェイだし、UAEはいいチームだし、『難しい』という一言で終わらない、難しすぎる、そういう試合になると思います。前に3人すごくいい選手がいるので、そこをしっかりと潰せないと厳しいでしょう」

「ホームなので相手も前からプレッシャーをかけてくると思います。それに僕たちが慌ててしまうと、余裕がなくなると試合を支配できなくなる。まずは、どんなことがあってもぶれないメンタルが一番アウェイで必要になると思います」

「もちろん、試合に出ても出なくてもチームに僕の経験をチームのためにすべて尽くしたいと思います」

最後の台詞に、試合に出られないかもしれないという危機感を長友は持っているようでもあった。だが、もう質問がないか記者たちに聞き、何もないことがわかってからその場を去るのは、最初に日本代表に選ばれたときと同じ。緊張の中でも初心を貫ける長友のメンタルは、必ずやチームのプラスになることだろう。

【日本蹴球合同会社/森雅史】