松本VS岐阜のユニは何故見分けにくい? 色の専門家がビシッと解説

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12日に行われたJ2では、松本山雅FCとFC岐阜の対戦において両チームのユニフォームが判別し難い状況となり、敵にボールを渡すなどミスが頻出した。

反町監督は「はっきり言ってJリーグが精査してないから」とその理由を指摘したが、何故この2チームのユニフォームを見分け難かったのだろうか。

今回は色専門の会社である株式会社カラボ代表で、カラボ色大学の講師でもある立川弘幸先生にお話を聞いた。

松本山雅FCのユニフォーム(アウェイのダークグレー)


FC岐阜のユニフォーム(ホームのグリーン)

―この2チームのユニフォームが見分け難かった理由は何でしょうか?

はい。区別がつきにくかった最大の理由は、「色み」だけでみると緑とグレーで差はあるのですが、色は「色み」だけでなく、「明るさ(明度)」、「鮮やかさ(彩度)」の要素があります。

もともと両チームのユニフォームは「明るさ」と「鮮やかさ」が似ています。さらに、この試合の日の天候が問題です。色をみるためにはある程度光の量が必要です。曇りだったために光量が不十分だったわけです。

暗いと色みや鮮やかさを感じる脳の中の「錐体」という細胞が働かないため色は見分けにくくなります。

ユニフォームの光の反射率も、両チームで同じくらいだった可能性もあります。さらに選手は必ずしも止まっているわけではありません。ボールが動く中で、両チームの選手の動きをみながら色を見分けるのは非常に困難だったと思われます。

―Jリーグではユニフォームに関しての規定はあまり多くありません。シーズン前に1年分の試合に使う「ユニフォーム使用計画」を立ててそれで運用しています。

Jリーグのユニフォーム要項は以下のようになっているようですね。

第3条〔ユニフォームの色彩〕
(1) フィールドプレーヤーのユニフォームの前面と背面の主たる色彩は同じであるものとする。
(2) シャツは以下の用件を満たすものでなければならない。
袖があること
審判員が常時着用するシャツの色と明確に判別し得る色彩であること
アンダーシャツを着用する場合は、袖の色がシャツの袖の主たる色と同じであること
(3) アンダーショーツまたはタイツを着用する場合は、その色はショーツの主たる色と同じ
でなければならない。
(4) それぞれのゴールキーパーは、他の競技者、審判員と区別し得る服装を着用しなければ
ならない。

(中略)

第5条〔使用義務〕
Jクラブは、試合において、その所属チームの選手に、「ユニフォーム使用計画」に定め
るユニフォームを使用させなければならない。

ーJリーグの ユニフォーム要項より

―はい、反面、JFAでは審判がユニフォームの色彩が類似している場合に両チーム立ち合いの下で着用ユニフォームを決めるという一文が入っています。そのために、チームはホーム、アウェイなど何種類かのユニフォームを用意しています。反面、今回のJリーグでは岐阜側がユニフォームを事務所に取りに行く必要がありました。何か改善策はありますでしょうか?

はい、JFAのルールは良いと思いますが、現状のルールでも対応できる部分はあります。改善策としては「測色」をし、両チーム、反射率の違うユニフォームの色にすることがあげられます。例としては、反射率の高い白、反射率の低い黒など明るさを変えてあげることです。

本当であれば、明るいもの、暗いものの他、1色だとユニフォームの特徴もだしにくいので2色や3色の組み合わせ(柄も変える)にするなど、配色を活用したデザインにするのがいいのですが…チームカラーや伝統もありますので難しいかもしれませんね。

他にも「鮮やかさを変える」…という手もありますが、鮮やかなユニフォームはかなり目立ってしまいます。サポーターにとって不快に思う人が増えてしまうという欠点もあります。鮮やかなのは…審判だけで良いでしょう。

どちらにしても全チームのアウェイとホームのユニフォームを比較して問題ないか、きちんと測色した方が良いかもしれません。

ー後日、村井チェアマンは「シーズン前にデザインのデータを送ってもらって判断するが、実際の仕上がりのイメージが違っていた」と語っています。

データを送ってもらってモニタでチェックするのと、実際の素材とでは、色のつくり方がそもそも違うのでイメージは変わります。

モニタの色表現はRGBの三原色ですが、ユニフォームの色表現はCMYの三原色に黒を加えたものになります。

イメージの違いを防ぐにはデータをきちんと実際のユニフォーム素材でサンプルを作成しそれをちゃんとピッチ上でマネキンなどに着せてあげる必要があります。

さらに、天候別に実施したほうが良いでしょう。曇りのとき、晴れのときの状況で眼で見て測色(視感測色という)をして、区別するということをしないといけないですね。

世の中に出ている商品は「プロダクトデザイン」の中で、太陽の環境下でサンプルをチェックしています。Jリーグ側もそうしたチェックを様々な角度から実施する必要があると思います。

話をきいた人:立川 弘幸

株式会社カラボ代表取締役 IACC国際カラーコンサルタント。 

学生時代に文部科学省後援色彩検定1級を取得後、東京商工会議所カラーコーディネーター検定環境色彩1級、商品色彩1級、ADEC色彩士検定1級理論を取得。その後、色彩に特化したWeb及びコンサルティングの株式会社カラボを立ち上げ、色彩心理学、生理学、人間工学をベースに東証一部上場企業から中小企業、個人まで幅広くカラーコンサルティングを行っている。 

三重県商工会連合会、津商工会議所エキスパート専門家。名古屋産業大学、名古屋経営短期大学非常勤講師。好きな色はターコイズブルー。