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産業技術総合研究所(AIST)は3月21日、単層カーボンナノチューブをプローブとして用いた褐色脂肪組織の近赤外蛍光造影法を開発したと発表した。

同成果は、産業技術総合研究所ナノ材料研究部門 湯田坂雅子招へい研究員、片浦弘道首席研究員、国立国際医療研究センター研究所 佐伯久美子室長、北海道大学大学院獣医学研究科 岡松優子講師、東京大学大学院工学系研究科 石原一彦教授らの研究グループによるもので、3月20日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

褐色脂肪組織は脂肪を燃焼させる組織で、メタボリックシンドロームによる健康障害が急増する近年では、特にその活性化が期待されている。褐色脂肪組織の研究では、動物実験で褐色脂肪組織を非侵襲で観察することが、解剖による動物への苦痛を軽減し使用する動物数を減らすという点から重要であるが、これまではそれができる手法は、大型で高価なPET-CTだけであった。

一方、生体透過性の高い近赤外光を用いて小動物の体内を非侵襲的に造影する手法があり、近赤外光により高効率で発光する半導体型単層カーボンナノチューブ(SWCNT)が蛍光材料として注目されている。同研究グループはこれまでに、蛍光の発光効率が高いSWCNTを効率良く分離する技術を開発し、従来の100倍の感度でマウスの血管を造影できることを示していた。

今回の研究では、生体親和性の高い分散剤のMPCポリマーの一種であるPMBで表面を被覆したSWCNT(PMB-SWCNT)が、マウスの褐色脂肪組織に選択的に沈着することを見出した。沈着したPMB-SWCNTをプローブとして近赤外蛍光イメージングを行うことで、褐色脂肪組織を選択的に造影することができる。同手法では、リアルタイム観察が可能であるため、蛍光染色された褐色脂肪組織の選択採取が可能。また、採取した組織の蛍光顕微鏡観察もできる。

今後同研究グループは、メタボリックシンドロームの予防・治療法研究の動物実験でPMB-SWCNTが活用されることを目指して、PMB-SWCNTのサンプル提供を進めるとともに共同研究を進めていくとしている。

(周藤瞳美)