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岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野の窪木拓男教授、大島正充助教、同研究科分子医化学分野の大野充昭助教、理化学研究所多細胞システム形成研究センターの辻孝チームリーダーらの研究グループは21日、器官・臓器の種となる器官原基を再生する細胞操作技術(器官原基法)を用いて、大型動物モデル(ビーグル犬)における構造的・機能的に完全な歯の再生を実証した。

今回の実証は、歯の再生治療の実現可能性を証明するためのトランスレーショナル研究として位置づけられるものであり、分泌腺や毛髪などの多臓器にも応用可能な器官再生医療の発展につながるものとして期待される。同研究成果は3月16日、科学雑誌「Scientific Reports」にて公開された。

従来、歯の喪失に対しては固定性架工義歯や可撤性床義歯、歯科用インプラントによる人工的な機能代替治療が進められてきたが、侵害刺激に対する神経機能など歯の生理的機能を有していないことが問題とされており、生物学的な歯の再生治療が期待されてきた。窪木教授らの研究グループは、ビーグル犬から永久歯胚細胞を採取して、器官原基法により再構築したイヌ再生歯胚を顎骨内に移植することにより、構造的・機能的に完全な永久歯の再生に成功した。再生歯はエナメル質や象牙質の構造、歯の移動が天然歯と同等のものとなっていた。

今回の実証は、理化学研究所 多細胞システム形成研究センター・器官誘導研究チームの辻孝チームリーダーらが世界に先駆けて開発した器官・臓器の種となる器官原基を再構築する細胞操作技術(器官原基法)を用いて得られたもの。同再生技術は細胞シーズの探索や細胞操作技術の最適化を含め、これまでマウス(齧歯類)以外の大型動物では実現していなかった。このたびの成果は、ヒトに応用されるために必須とされていた大型動物モデルによる同技術の再現にあたる。

なお、再生歯胚の利用による歯科再生治療を実用化するための今後の最大の課題は、歯胚再生を可能とする細胞シーズを取得すること。今回のビーグル犬で実現した実証は若齢期の歯胚細胞を利用した研究であり、歯を失った成人・高齢者にも適応しうる技術とするためには、歯胚を誘導可能な幹細胞の探索が必要となる。同グループはこれらの課題に取り組むことによって、臨床実用化が可能な技術となるよう研究開発を進めたいとしている。

(杉浦志保)