大竹は恩師である長澤監督と2011年以来のタッグを組むことに。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 2017年シーズン、Jリーグ全54クラブ(U-23チームを除く)のうち、23クラブで今年から新たな選手が10番を着けている。岡山の大竹洋平もまた、「新10番」のひとりだ。
 
 今季、大竹が3年半過ごした湘南から岡山への移籍を決断したのは、長澤徹監督の存在が大きい。かつてFC東京の下部組織、トップチームで指導を受けた恩師には、思うようにプレーできない時、出場機会に恵まれない時に、「自分を信じる気持ちとやり続けることの大切さを教わった」(大竹)。「またいつか徹さんと一緒にやりたい」という想いを持ち続けてきたなかで届いたオファーに、心は自然と移籍に傾いた。
 
「徹さんが(FC東京の)コーチ時代から話してきて、一つひとつの言葉が今でも鮮明に記憶に残っています。徹さんのおかげで、サッカー選手として『自分は間違っていない』、『これを続けていれば大丈夫だ』と確信が持てた。今回、声をかけてもらって、自分も岡山に行って、まだ成長できるんじゃないかと思ったんです」
 
 近年、故障もあって伸び悩んできた大竹にとっては、まさに転機となる出来事だった。もっとも、監督の勝手を知っているだけで、レギュラーの座を奪えるほどプロの世界は甘くない。4試合を消化した時点でスタメン出場は1度のみで、現状では22歳の石毛秀樹とシャドーの3番手を争っている状況。大竹自身、ここまでの出来にはまったく満足していない。
 
「(岡山特有の)ハードワークに関しては、湘南でやってきた自信もあったので驚きはありませんが、胸を張れるような結果を残せていないし、まだ完全な信頼は得られていないと思います。1年を通して試合に出て、結果を残さないと。それが一番自分の成長にもつながるので」
 
 おそらく大竹の頭には、かつて長澤監督からかけられた「プロは結果がすべてだ」という言葉が、走馬灯のように浮かんでいるに違いない。
 長澤監督は3節の町田戦後、攻撃陣に「相手の裏を取ったり、騙したプレーが少ない。(選手に)“正直な人間”が多いので、ピッチ内の最後の部分ではそういう賢さとかを発揮してもらいたい」と注文をつけた。そのなかで翌4節の京都戦、大竹はペナルティエリア内でこぼれ球を拾うと、赤嶺真吾に針の穴を通すようなダイレクトパスを供給して得点を演出し、チームの勝利に貢献。卓越したチャンスメイク力と創造性に懸かる期待はやはり大きい。
 
「目に見えた得点、アシストにこだわっていけば、自然と自分のプレーが出せるはずだし、チームを引っ張っていけると思います。湘南時代は『チームとしてやるべきことをやらなきゃ』という感覚でしたけど、今はそれよりも結果にフォーカスしている。岡山をさらに良くしたいと思って来たので、結果を出して、信頼を勝ち取って、絶対的な存在になりたい」
 
 節目のプロ10年目、恩師との二人三脚で臨む新たな“自分探しの旅”はまだ始まったばかりだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)