都内で発表された「ドレスドアンドレスド」17年秋冬コレクション(2017年3月20日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】(記事更新)音楽プロデューサーで歌手のファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)が「シャネル(CHANEL)」の新しいユニセックスのバッグを宣伝するなど、欧米で性別を感じさせないスタイルが急に大流行したとしても、最高のジェンダーレスファッションを誇るのは東京だ。

「コム デ ギャルソン(Comme des Garcons)」「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」「ケンゾー(KENZO)」のスタイルに見られるように、何十年も前から中性的なファッションの先駆者である日本は、男性と女性の境界線を巧みにぼやかす若いデザイナーを数多く生んでいる。ジェンダーレスな外見の少年たちがファッション界や東京の街で支持を得始めている。髪を染めたり化粧をしたりしているのは、ゲイに限らずストレートの男性が大半。女性にアピールするためではなく、美の新基準を作ることが目的だ。

「ずっと私たちはユニセックスやジェンダーレスを大きくテーマにしてきた」と、日本国外でも売られているブランド「ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)」のデザイナー、北澤武志(Takeshi Kitazawa)は言う。「今はジェンダーレスというのはすごく当たり前だと思う」と、彼は17/18年秋冬「アマゾン ファッション・ウィーク 東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」で男女どちらでも着用可能な新作を発表した後に語った。

 ブランド名の「ドレスドアンドレスド」に忠実に、サイドに深いスリットが入ったコートやパンツなど、半分ドレスド(服を着て)で半分アンドレスド(裸)なスタイルが特徴的だった。女性より男性モデルの方が裸の脚を見せてランウエーを歩いていた。フェミニンな要素が唯一感じられたのは、男女ともに手に持ったり胸のあたりに斜め掛けしていた小さな赤いバンドバッグ、あるいは裾に施されていた繊細なレースや女性のハイヒールだった。

「ISOLATION」や「CONTROL」の文字が逆さまにプリントされたキャップと、1970年代風の大ぶりな眼鏡が顔を見えにくくし、男性なのか女性なのか見分けがつかないモデルもいたが、まさにそれが狙いだった。「特に日本の男性は柔軟な人が多く、レディースのブランドも着るし、レディースもメンズのブランドを着る人がすごく多い。もしかすると世界と比べても特殊なくらいに、日本のこういったカルチャーはジェンダーレスだと思う」

 日本人デザイナーの大半が海外市場への進出に意欲を見せる中、ユニセックスファッションの分野は今が最大の好機だ。

 同性愛者の擁護団体「GLAAD」の調査によれば、米国のミレニアル世代の中で、シスジェンダー(自分の性別に違和感を持たない人)でストレート(異性愛者)ではないと自認している人の割合は20%に上っている。ベビーブーム世代ではわずか7%だ。

 米国ではバラク・オバマ(Barack Obama)前政権が全米の公立学校に対し、トランスジェンダー(自分の性別に違和感を持つ人)の生徒・学生が自分の性認識に基づいたトイレの使用ができるよう指針を示した。しかしドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がこれを撤回したため大きな非難を呼び、この問題は再び政治的な注目を浴びている。

 男性から女性に生まれ変わった元米五輪金メダリストでタレントのケイトリン・ジェンナー(Caitlyn Jenner)は、トランスジェンダーとして広く知られている。米女優クリステン・スチュワート(Kristen Stewart)と英モデルのカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)は今や、バイセクシャル(両性愛者)のイメージキャラクター的な存在だ。

 米ポップスターのマイリー・サイラス(Miley Cyrus)は先日、「タイム(Time)」誌の特集で若者がジェンダーの意味について再定義していることについて、「今はもうそれについて語っても受け入れられる時代。カミングアウトしても受け入れられる。以前はとても怖かった」と語った。

 中性的なファッションの先駆者といえば、「コム デ ギャルソン」のデザイナー、川久保玲(Rei Kawakubo)だ。この春、米メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)で川久保の作品が特別展示される。存命のデザイナーをテーマにした展示会は、女性にタキシードジャケットとパンツを着せた伝説のデザイナー、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)展が開催された1983年以来だ。

 ニューヨーク(New York)のジャパン・ソサエティー(Japan Society)は現在、「第三のジェンダー:浮世絵に描かれた若衆」と題した展覧会を開催し、日本の江戸時代の性にまつわる複雑なルールに光を当てている。若衆とは男性と女性の両方から性の対象とされた美少年のことで、江戸時代の「第三のジェンダー」であったと言われる。

 17/18年秋冬「アマゾン ファッション・ウィーク 東京」では「ネーム(Name. )」の新作で見られた長めのシャツやガウンなど、男性がパンツの上からスカートを履いているようなスタイルが間違いなくトレンドだった。

「アクオド バイ チャヌ(ACUOD by CHANU)」は21世紀の男性の装いにスーツはふさわしくないと主張する韓国人デザイナーのチャヌ(Chanu Lee)が手掛けるブランド。彼は男性モデルたちに、タイトなパンツの上にシャツワンピースのような長いドレスシャツを着せた。

「男性と女性の性差を見せないようにした」と、チャヌは言う。「マスクもしかりだ」と語ったチャヌは、すべてのモデルにファスナー付きの黒い革のマスクを着用させて顔の大半を覆い隠していた。
【翻訳編集】AFPBB News