今回のビジネスマナーは、飲食系サービス関連会社に勤務する乃田ユキさん(仮名・28歳)から届いた相談です。

「近く、会社を退職する男性がいます。うちの会社は、社内恋愛が禁止でした。相手が辞めるので、告白してもいいですよね」

忙しく働く女性の日常の中で、出会いの可能性が最も高く、相手の人となりを知るにも一番じゃないかと思われる社内。そこでの恋愛が規約として禁止されているというのは、なかなか厳しいシチュエーションですが……。さっそく鈴木真理子先生に聞いてみましょう。

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社内恋愛を禁止する会社の言い分

たしかに社内恋愛が禁止の会社はありますね。
直接の業務に関係のないルールを会社がつくることに対する賛否はありますが、実際に、自分が勤めている会社のルールがそうであったら、社員としては従わざるを得なくなります。

明文化されてはいないものの、暗黙のルールとして、社内恋愛禁止のムードがある会社も少なくありません。
結婚した場合はもちろん、別れた場合も、どちらかが辞めてしまう可能性が高く、優秀な人材の損失になるという考えもありますし、公私混同があると仕事によからぬ影響が出ると、上司やトップが目を光らせている企業もありました。

経営側からすれば、社員には営業利益を生み出してほしいから採用するわけで、恋愛沙汰によって業務に支障がでる可能性のあることは避けたい、という気持ちがあるのかもしれません。

とはいえ、逆に社員同士の結婚を祝福する企業も多くあります。考え方はそれぞれだと感じます。

相手の退職日を過ぎたら社内恋愛にはあたらない

質問者さんのお相手は、退職が決まっているとのこと。相手が退職する場合、退職日を過ぎたら、付き合うことになったとしても、社内恋愛にはあたりません。まだ社員であるうちに告白しても、付き合うのが退職日以降であれば、ルールに反することにはなりません。告白していいか否か、という点だけ言えば、告白しても問題はない、ということになります。

ですが、もし、どうせ相手は辞めるのだから万が一フラれてもダメージは少ないし、という気持ちなら、少し冷静になったほうがよいと思います。

あなたがその方に告白した、という噂が広まる可能性もあり、その噂のせいで、彼が辞めたのにも関わらず、あなたが会社にいずらくなってしまうということも考えられます。

それに、密かに抱いていた恋心をいきなり告白すると、相手に驚かれてしまう場合も。
彼の在職中に告白するよりも、明るく送り出したあと、改めて「新しい会社はどうですか?」などと、メールやラインで連絡を取るのはどうでしょうか。

そのほうが、確実に社内ルール違反となりませんし、相手に退職後の連絡先を聞くことじたいが、今後も連絡を取りたいという気持ちを伝えることになります。

たとえ、これまであなたのことを何とも感じていなかったとしても、「連絡先を教えて」というだけで、気になる存在になる可能性も……。

そして、もしやりとりが続いたら、よきタイミングで「よかったら今度話を聞かせてください」と切り出してみる。そのときも、1対1でなく、彼の前職となり会社の共通の知人の方や、自分の女友達など複数で会う方が、相手もイエスと言ってくれる可能性が高いかもしれません。少しずつコマを進めていく、というのはいかがでしょう。

えっ? 恋愛相談はしていない、マナーのことだけ聞きたい? おっと失礼しました。陰ながら応援させていただきます。

相手が有給消化中だと、告白→お付き合いは社内規定に反することになるので要注意です。



■賢人のまとめ
社内恋愛禁止のルールは、双方が社員である期間のみ有効。相手の退職後には適用されません。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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