写真提供:マイナビニュース

写真拡大

●基本的に特別な予防策は必要ない
紫外線やアトピー、口紅などのさまざまな原因で発症する口周りのトラブル・口唇炎。口元を魅力的に見せようとする女性からすれば、グロスやリップを使う度に気になって仕方がないことだろう。ただ、一度症状が出ると患部を指でいじったりなめたりしてしまうことで、意外と完治まで時間がかかるケースもある。治るまでに時間を要するのであれば、口唇炎をつくらない、すなわち予防をしっかりとすることが大切になってくる。

そこで今回は、南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長である服部英子医師に口唇炎の予防策や治療法についてうかがった。

○パッチテストで原因を調べる場合も

口唇炎の具体的な症状は「唇がカサカサして荒れる」「唇の皮がむける」「口周りが切れる」「口周りがかゆい」などで、口の周辺もしくは唇に発生する皮膚炎や湿疹全般が口唇炎に該当する。

その発症の原因はさまざまだ。女性の場合はリップや口紅が接触することに伴う「接触性口唇炎」のケースが男性よりも多くなる。アトピー性皮膚炎の人の部分的な一症状であったり、毎日の食事から栄養を十分に摂取できていないと、かさぶたや皮のめくれを伴う「剥離(はくり)性口唇炎」を発症したりする。その他では紫外線や口唇をなめることが原因となる場合もある。

ただ、原因は複数あるものの、予防にあたっては何か特別なことをする必要はない。服部医師は「例えばアトピーの人は乾燥が起きやすいので、寒くて乾燥しがちな時期に保湿をしっかりするのが口唇炎予防になります。それと、夏場なら紫外線対策をしっかりすることも重要です」と話す。季節に見合ったスキンケアをすることが、同時に口唇炎の予防につながるというわけだ。

これらのケアをきちんとしていても発症してしまった場合は、別の原因を突き止めるべく、問診を重ねていく。

例えば外食が続いていれば、ビタミン不足による剥離性口唇炎が疑われるため、こまめにビタミン摂取をすることが予防となる。患者が小児の場合は、無意識のうちに口唇をなめてしまい口唇炎を引き起こしている可能性があるため、なめることを意識的に止めさせて経過を観察。それで症状がよくなれば、今後も唇をなめることを控えるように導くことで再発防止につなげる。

中には金属アレルギーやラテックスアレルギーが原因で口唇炎になるケースもあるため、場合によってはパッチテストも実施。実際、金属性のコップなどで発症する人もいるという。ただ、原因さえわかれば予防をするのは容易になる。口唇炎が頻繁にできるという人は、まずその原因を突き止めることが予防への第一歩となると覚えておこう。

●治療の進め方
口唇炎は基本的に自然治癒するが、症状が重症化した場合は医療機関で治療を受けた方がよい。治療はワセリンなどの保湿剤やビタミンB2、B6のビタミン剤、抗炎症用のステロイド配合軟こうなどを用いて行っていく。リップなどが原因となる接触性口唇炎の場合は、当該製品の使用を控えて別の製品に替えることで自然治癒を促すようにする。

「口唇炎の症状にもよりますが、ステロイド薬を3〜5日間にわたり塗った後、ワセリンを2週間ぐらい使ってみて、トータルで3〜4週間ぐらいで良くなるようならば問題はないと思います」

1カ月ほど様子を見て経過が良好なようであれば、普段使いしている口紅やリップの使用が可能になる。ただし、これらの製品が口唇炎の原因になっている場合は、使用はもちろんご法度。パッチテストの反応をみたうえで、特定の成分が含まれているルージュなどを使うのは控えるよう、患者に伝えるケースもあるという。

○まずは身の丈に合った予防から

近年は紫外線対策の一環として、SPFを表示したリップクリームも数多く販売されており、中には高い効果を期待できる医療機関向け化粧品もある。普段使いするリップをSPF表示のあるものにしておけば、手軽に夏場の口唇炎発症リスクを低減できるメリットがある。

度々口唇炎に悩まされるという人は、発症の原因を突き止めたうえで自身が負担に感じない範囲から予防・対策をしていくのが賢明なやり方と言えそうだ。

○記事監修: 服部英子(はっとり ひでこ)

東京女子医科大学卒業。皮膚科専門医。日本皮膚科学会、日本レーザー学会、日本臨床皮膚科学会、日本アレルギー学会に所属。大学卒業後に東京女子医科大学病院やJR東京総合病院の皮膚科に勤務した後、2005年より南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長を務める。

(栗田智久)