歯を生やして治療できる日も近い(論文掲載画像より)

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岡山大と理化学研究所の合同研究グループは2017年3月16日、犬の幹細胞から作った歯のもとである「歯胚(しはい)」を使い、同じ犬の歯が抜けた部分に歯を再生させることに成功したと、英科学誌「Scientific Reports」(電子版)に発表した。

これまでに同様の研究はマウスでの成功例が発表されているが、犬のような大型動物での成果は初めてだという。

再生した歯は正常な歯と同じ成分構成

発表された論文によると、実験の対象となったのは生後1か月のビーグル犬。臼歯の部分から歯胚を採取し、歯を構成する「上皮組織」と幹細胞を含む「間葉細胞」に分解した上で再び組み合わせ、再生用に使いやすい状態になるよう2日間培養した。

こうして作成した再生用歯胚を、同じ犬の歯が脱落した部位に移植したところ、60日後に下あご内に歯が形成されていることが確認され、180日後には正常な歯として生えだした。歯の発達過程は天然の歯と同様で、詳しく分析すると、正常な歯と変わらないエナメル質、象牙質、セメント質および歯周靭帯(歯の根元を構成する組織)があった。成分分析でも天然歯とまったく同じ構成だった。実際に確認はしていないが、歯の内部にある神経も再生されている可能性がある。

研究チームは、「犬のような大型動物で歯の自己移植再生に成功したことで、人への応用も可能な技術になる」とコメントしている。現状ではまだ歯の再生率が低く、歯胚の確保が難しいといった問題点もあるため、さらに方法を模索して近い時期に臨床応用を実現する予定だ。