制度変更で離職率が低下、米企業で進む「勤務評価システム」改革

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年に一度のパフォーマンスレビューを楽しみにしている人はほとんどいない。マネージャーであれば長ったらしい評価表を作らなければならないし、従業員にしたら、たまにしか行われない一方的な評価は不安の種になる。しかし新たなデータによれば、より短く継続的なフィードバックを提供する企業が増えており、それがビジネスに良い結果をもたらしているようだ。

毎年、人事関連の傾向についての調査ヒューマン・キャピタル・トレンド・レポートを作成している監査法人デロイトのジョシュ・バーシンは「多くの企業が改革を行っている」と指摘する。デロイトが調査を行った1万447の企業および人事担当者の71%が、現在の勤務評価システムについて再考・改良している、あるいは過去3年で改良を行ったと回答した。

アドビでは2012年、マネージャーと従業員がキャリア開発などについて双方向で議論する評価制度「チェックイン」を導入した。評価リポートなどを作成する必要はなく、アドビはこの変革によって、マネージャーたちが勤務評価に費やす年間10万時間節減され、自発的離職率が着実に減少していると言っている。同社が1月に発表したチェックイン・モデルのガイドは、これまでに600社以上がダウンロードしている。

デロイトは2年前、マネージャーが4つの評価基準のみを記入する新たな評価フォームを作成した。「この人材は常に私のチームに欲しい」「この人材はパフォーマンスの質が低くなる危険がある」などの基準にイエスかノーで答えるものだ。現在デロイトでは四半期ごとの評価でこうした質問票を使っており、どの従業員が最も利益を生みだし得るかを判断する上で、従来の方法よりもずっと効果的だとバーシンは言う。

アパレル企業のパタゴニアでは2年前に四半期ごとのチェックイン制度を導入し、年次勤務評価を廃止した。デロイトの報告書によれば、その結果「企業の財務実績も、個人のパフォーマンスやエンゲージメントも以前より良くなった」という。

だがこうした変革には時間がかかることを、各企業は認識しておかなければならない。パタゴニアの場合、変革を行う上での「何度も検討し、従業員をトレーニングしたり教育したりするのに何年もの時間がかかった」という。それにマネージャーたちは、部下をただ評価するのではなく、彼らを成長させていくことに重点を置くようにすることを学ばなければならない。

各社の人事担当者たちは、長年実践されてきた評価方法に疑問を抱き始めている。例えば名経営者として知られたジャック・ウェルチ(GEの元CEO)が導入して有名になった「スタック・ランキング制度」――全ての従業員を業績に基づいてランク分けする制度――は、廃止する企業が増えている。

アドビの人事担当責任者ドナ・モリスは、時代が変わったのだと言う。「労働者たちは、ほかの人のパフォーマンスにはさほど興味がない。自分のパフォーマンスを知りたいのだ」と彼女は言う。

とはいえ、スタック・ランキング制度を廃止したからといって、成績の悪い従業員に対するアドビの姿勢が甘くなったわけではない。同社は2012年以前よりも頻繁に、成績の悪い従業員を解雇している。これはマネージャーたちが、勤務評価についての厳しい議論を後回しにする傾向が減ったからだ。

では、ウェルチはスタック・ランキング制度の廃止傾向についてどう思っているのだろうか? 彼は今でも、この制度は効果があると考えている。だがより大きな目標は、率直で公平なフィードバックを行うことだ。彼は言う。「マネージャーの仕事は、従業員に対して彼らがどの位置にいるのかを認識させることだ。別の方法でそれができるならば、それで構わない」