悪くない。

 今季のアルビレックス新潟を見た、率直な印象である。

 新潟はJ1第4節を終えた時点で2分け2敗の勝ち点2と、いまだ勝ちがない。同じく未勝利の大宮アルディージャ(4敗)、サンフレッチェ広島(1分け3敗)を辛うじて上回っているものの、順位はJ2降格圏の16位にある。

 昨季の新潟は15位でギリギリのJ1残留を果たしたが、勝ち点のうえではJ2に降格した16位の名古屋グランパスと並ぶ30。今季の新潟を降格候補と見る向きが多いなか、残念だが、結果は前評判どおりのシーズン序盤となっている。

 しかし、そうした数字から想像するほど、試合内容は悪くない。

 第4節横浜F・マリノス戦にしても、敵地に乗り込んで1-1の引き分け。先制を許し、さらに追加点のピンチが続きながらも、そのなかで同点に追いつき、引き分けに持ち込んだものだ。

 新潟の三浦文丈監督が語る。

「拮抗した試合のなかで先制点を取られてしまったが、チームがブレることなく、粘り強く守備の構築を続けてくれて、ワンチャンスを生かして同点にした。後半も押し込まれる時間はあったが、何とかしのいで勝ち点1を挙げられた」

 今季から指揮を執る新監督のコメントにもあるように、今の新潟を支えているのは「粘り強い守備」である。

 4-4-2の3ラインで守備ブロックを作ってしまえば、そうは簡単に崩されない。今季キレキレのプレーで横浜FMを引っ張るMF齋藤学に対しても、「嫌なシーンはあったが、決定的な仕事はさせなかった。中盤の選手のカバーもあったので、思い切ってチャレンジできた」(DF矢野貴章)。

 先制されたあとも、「まだ時間があったので、焦らず、しっかりブロックを作って守備をすれば、チャンスはくると思っていた」(DF大野和成)。

 結果的に相手のミスに乗じての同点ゴール(相手のバックパスが弱くなったところを、FWホニが奪って無人のゴールへ流し込んだ)ではあったが、アウェーゲームであることや試合展開を考えれば、うまく立ち回った結果の勝ち点1だと言っていいだろう。


好調な齋藤学を封じるなど、守備は安定しているアルビレックス新潟だが... とはいえ、「悪くない」止まりでは、残留争いを勝ち抜くことは難しい。

 最近5シーズンの15位クラブの平均勝ち点35.4をJ1残留ラインとするならば、1試合あたり、単純計算でおよそ勝ち点1が必要となる。現時点での新潟の勝ち点は、その半分。負けが続くなかで、ときどき引き分けているくらいでは、J1残留はおぼつかない。キャプテンの大野は「チームとしてまとまって守備をすることはできた」と手応えを口にする一方で、こう語る。

「守備の部分はよくなってきているので、そこからいかに攻撃につなげるか。勝つためには攻撃の精度が必要。勝ち点1を拾えたのはよかったが、そこを上げていかないと、勝ち点1が3にはならない」

 攻撃にしても、狙いは決して悪くなかった。

 最前線に位置する今季加入の新外国人選手、ホニのスピードを生かすことが新潟の攻撃のベースとなるが、だからといって、ただただロングボールを蹴って、ホニを走らすわけではない。中盤でパスをつないで相手DFラインの足を止め、タイミングよくホニが背後を突く。そんな意図は見て取れた。

「いい距離感でボールを動かして、中で一度(相手の守備を)食いつかせてからサイドへ。サイドが抑えられたら、今度は中から仕掛ける」

 三浦監督もそんな表現で、攻撃のイメージを語る。

 一か八かの攻撃に頼るのではなく、自分たちが意図して進める形を作り上げていきたい――。長いシーズンでコンスタントに勝ち点を得ようと思えば、不可欠な姿勢である。実際、この試合でも相手の守備をかいくぐり、中盤でパスをつなぎ、前進する(しようとする)場面は何度か見られた。

 しかし、狙いと実践は別物だ。新潟の攻撃は、シュートやクロスなどに至る、はるか手前のつなぎの段階で、選手の動きとボールの動きがズレてしまうことが多かった。結局は、相手にボールを奪い取られるというより、イージーな形で自らボールを失ってしまうことが多いのだ。

 ボランチを務めるルーキーのMF原輝綺は、「縦パスが入ったときの(前線の選手同士の)距離が遠い。(縦パスを)入れても失うのでは意味がない」。2トップのサポート役となるべきMF山崎亮平は、「(左右サイドハーフの)自分や(MF加藤)大のところでもっと時間が作れれば、攻撃の厚みが作れたと思う。理想としては、もっと(チームとして)ボールを持つ時間を増やしたい」と、課題を口にした。

 もちろん、ミスが起きたからと、すぐに諦めてしまったのでは形にならない。攻撃の姿勢からは、何をやりたいのか、その意図を感じるだけに、やり続けるに値する挑戦だとも思う。

 しかし、J1残留がかかる新潟にとっては、内容と同等か、それ以上に結果が重要。未勝利の状況に目をつぶり、目指すべきスタイルを追求することの限界もあるだろう。また、個人の能力で局面を打開しようにも、FWラファエル・シルバ(→浦和レッズ)、MFレオ・シルバ(→鹿島アントラーズ)は昨季限りでクラブを去った。新外国人選手は彼らに比べると、小粒感が否めない。

 幸いにして横浜FM戦では、ミスからさらに失点を重ねることはなかった。だが、これだけ何度も自滅に近い形でボールを失ってしまうと、せっかく意図を持って攻撃を作っていこうとする姿勢も揺らぎかねない。

 悪くない。

 だが、それだけでは生き残れないのも、また現実である。

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