「明日、朝7時の飛行機で出張です……」
「朝5時集合でゴルフのコンペです……」
早く寝なきゃ……と思うと眠れない。じわじわと高まる緊張感。ますます眠れません。友野さん、教えてください、こんな夜、どうしたら眠れますか!? 

ま、一晩くらい寝なくても死にはしません

私も昔、経験あります、明日早く起きなきゃと思うと眠れないこと。今は睡眠についての理解が深まっているので、眠れない夜はありませんが、以前はしょっちゅう眠れない夜を過ごしていました。万が一、寝坊したらと思うと眠れないんですよね。不安がっているうちに一睡もできず、徹夜してしまったこともありました。なので、このお悩み、よくわかります。

ただ、対策としては、真逆のことを言うようですが、「一晩くらい寝なくても大丈夫、死にはしません」ということです。つまり開き直りです。えーっ、それだけ?と思われたかもしれません。しかし、この開き直りも快眠の大事なコツなのです。

こういう場合も効果を発揮するのは、寝る前の入眠儀式です。毎晩、同じルーティンをこなすこと、「これをすれば眠れる」というおまじないをひとつ、持っておくことです。私は寝る前に10分ほどマインドフルネス瞑想を行なっていますが、人それぞれ、どんなことでもいいのです。自分が落ち着いて心地よいと思えることをひとつ、行なってみてください。

それから、眠れない夜に大切なことがもうひとつ。

時計を見るのをやめましょう。

ベッドに入ったけれど眠れない……と思ったらベッドを出て、あまり頭を使わないパズルをしたり、写真集を眺めたり、音楽を聴いたり、本を読んだりして静かな時間を過ごしてください。その時、時計を見ないことです。時計を見ると、どうしても残り時間を「逆算」してしまうからです。明日5時に起きなきゃいけないのにもう1時半、あと3時間半しか眠れない、と計算してしまい、これが焦りにつながり、ますます眠れなくなるからです。

睡眠は1週間のスパンで考える

「一晩くらい寝なくても大丈夫」と言いました。一晩、睡眠のリズムがくずれても、次の日からまた少しずつリズムを戻していけばよいのです。昨晩、眠れなかったとしたら、今晩はものすごく強い睡眠圧がかかっているはず。だったら今日は、いつもより早い時間に寝てしまいましょう。毎晩、同じ時間に寝て、同じ時間に起きなければ睡眠のリズムが一気にくずれると思いがちですが、もう少し柔軟に考えて大丈夫です。

睡眠時間は、1週間のスパンで考え、少しずつ整えていけばいいのです。1日単位でキチンとしようと思うとストレスになります。食事もそうですね。1日単位でカロリー計算をするとたいへんです。たまには、ジャンクフードを思い切り食べたくなる日もあるでしょう。そういう時は思いきり食べ、その代わり、翌日は魚と野菜をたっぷり食べる。カロリー計算も1週間で帳尻を合わせればいいのです。

おそらく、「明日早起きしなきゃと思うと眠れない」と悩む方は、性格がとてもまじめなのだと思います。万が一の寝坊も絶対イケナイと思ってしまうのですね。

ですから、どうしても不安な方へ。明日、着る洋服、持っていく物をすべて準備してから寝ましょう。たとえ寝坊しても、起きて10分後には家を出られるようにしておくのです。安心でしょう?

目覚まし時計はしっかりかけて。でも寝る前に時計を見ないことも上手に寝るコツ。



■賢人のまとめ
一晩くらい寝なくても大丈夫。睡眠時間は一日単位で考えず、1週間のスパンで見て、だいたいこれぐらい寝ていれば大丈夫という程度にゆったり考えましょう。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。