『抱き枕とは結婚できない!』(KADOKAWA)

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 だーく『抱き枕とは結婚できない!』(KADOKAWA)は、「月刊コミックフラッパー」に読み切り掲載後、集中連載された作品です。

 今回、晴れて単行本化されたわけなのですが、この作品は優れた点が満載です。

 まず、一巻完結なので次の展開を待たされることはありません。そして、一巻で完結するがゆえに、途中からキャラが増殖したり、よくわからん謎やらトラブルやらも起こったりはしない。とことん、ヒロインとのラブイチャだけが集中して描かれるのです。

 読者はただ、その主人公を羨ましく思ってハアハアと萌えるだけでよい……。ああ、なんとも便利な作品ではありませんか!

 はい、物語はタイトルがすべて説明しています。家族と暮らす22歳の新入社員・和くんの抱き枕が、ある日、女の子になってしまうのです。きっかけは、古くなった抱き枕を捨ててはどうかと母親が思いついたこと。適当に答えながら、部屋に戻った和くんに、美少女に変身した抱き枕が「棄てないで」と抱きついてくるのです。

 抱き枕というと、みんな好きなヒロインのカバーを被せているものかと思っていたのですが、和くんのは無地のもの。それが白い制服姿の美少女になっちゃうわけですから、興奮であります。

 これ、何が興奮するかといえば、抱き枕を使っている人なら、誰でも共感するじゃあないですか。だって、抱き枕を持っている人はみんな、好きなヒロインとの脳内二次創作で妄想を高めて、股間をグリグリと押しつけているでしょう。いや、抱き枕を買えるようになる以前には、単なる枕を相手に、そうした行為をしていたハズ。だから、枕そのものが女の子になるって、わかりやすくて萌えるじゃあないですか!

 そして、このヒロイン。抱き枕の布子ちゃんは、超絶可愛いです。なにせ枕ですから、できることは、和くんが帰ってくるのを部屋で待っていることだけ。そして、帰ってくれば、きちんと癒やしてくれるのです。

 22歳にして、家に帰れば美少女が待ってくれているという人生を手に入れた和くんは、とても羨ましい存在ではありませんか。ただ、和くん以外の目に触れる時には単なる枕に戻ってしまうので、お母さんにはヤバげな目で見られるというハプニングもあります。とりわけ、外でデートしたいという布子ちゃんのために通販で服を購入した回は、変態要素がMAXです。

 そもそも、現実世界においても、抱き枕の持つ癒やし要素には、ただならぬモノがあります。たとえ傍から見れば変態と思われようとも、毎日、抱き枕に話しかけているだけで、心は癒やされるものです。利点はペットと違って、エサをあげたりしなくてもよいことです。かつ、画面の中のヒロインと違って、質感はあります。その質感も、日夜向上して、とても気持ちよいものになっています(なにかと、2wayトリコットが定番ですけど)。

 だから、この作品を読んで改め思ったのです。ドラえもんは来なくても、いつかウチにも美少女がやってくることがあるんじゃないかと。その希望を胸に、明日も生きようと思います。
(文=大居候)