大相撲春場所は中日を終え、横綱・稀勢の里は初日からの8連勝で勝ち越しを決めた。初優勝を飾った初場所でも中日で勝ち越しており、新横綱で迎えた今場所も堂々たる勝ちっぷりをみせている。

■余裕を感じさせる取り口

 今場所二度目となる結びの土俵でも貫禄の取り口だった。過去、10勝2敗と得意としている松鳳山との取り組み。立ち合いで突き上げを喰らい、一瞬上を向いてしまうものの突き離しながら前に出る。土俵際まで追い込んだところで松鳳山にもぐりこまれ両差しとなり、そのまま押し込まれてしまう。だが、差されたままの状態で下がりながらも相手の寄りを受け止め、逆に左右に相手の体を振り、最後は小手捻りで松鳳山を土俵に転がした。勢いに任し迫力のある寄りをみせる松鳳山を、ものともせず軽々とあしらうかの如く投げ飛ばした稀勢の里。

 押し込まれながらも危なげない流れに持ち込むのが今場所の勝ちパターンであり、取組後、相変わらずの表情一つ変えない様子からも余裕が伝わってくる。

 7日目の御嶽海戦も、受け止めてから自らの体勢にしたうえでじっくりと相手を料理した。御嶽海の追っ付けを受け片足が俵まで下がった瞬間、素早く腕を巻き替え左四つへ。つかまえ、胸を合わした後は『電車道』で御嶽海を土俵の外へ。まるで、自分の形を作るためにあえて相手に攻めさせているようにも感じた一番だった。

■二場所連続の賜杯へ

 横綱としての貫禄充分な、春場所のこれまでの取り口だ。大関時代でみられた序盤での下位力士相手の取りこぼしていた姿も、もはや想像することすら難しい。

 同部屋の関脇・高安とともに中日を全勝で終え、『優勝争いに絡むのが使命』と語っていた通り、春場所の土俵の主役となっている。

 後半戦は二度目の優勝に向け重圧を浴びながら横綱との対戦が待っている。だが、白鵬は途中休場、日馬富士・鶴竜の先輩横綱はともに喫した黒星は二つ。『四横綱』の中ただ一人の勝ちっぱなしでの折り返し。過去、3人しか例のない新横綱での優勝も既に視界に捉えているかのような安定感を発揮し続け、後半戦を迎える。