(画像はテレビ朝日『ミュージックステーション』公式サイトより・スクリーンショット)


 いまだにテレビで活躍し続けているビートたけし、明石家さんまタモリ――通称「お笑いBIG3」。たけしは70歳、さんまは61歳、タモリは71歳という年齢だ。普通の会社ならば、たけしとタモリはすでに定年退職している年齢である。


 どこの世界でも、その分野を絶やさないために後進を育て、そして育ってきたら自分が引退をして後輩に道を譲るというのが普通の流れだ。しかし、お笑いの世界には定年がないため、60歳を超えても第一線で活躍している芸人が数多くいる。彼らが後輩を育てていないというわけではない。しっかりとその下を育ててきており、いつでも世代交代できる準備はしてきているのである。しかし、この3人がまだ引退せずにトップに立ち続けているのはなぜなのだろうか。


 過去に「20代の頃はBIG3が邪魔で仕方なかった。しかし40歳を過ぎてからこの人たちが(その年齢で)頑張れているから自分もまだ頑張れるって思えるようになった」と語ったのはダウンタウンの松本人志(53歳)だ。BIG3が60歳を過ぎてもまだ変わらず活躍している姿に勇気をもらっているという。そのダウンタウンを見ている少し下の世代も同じように「この人たちが頑張れているから自分もまだ頑張れる」と刺激を受けていることだろう。


 若い世代が上の世代を見て勉強をするのは当たり前の話であるが、上の世代も若い世代を見て勉強しているのである。さんまは若手芸人が出ているテレビ番組を毎日チェックしている。関根勤(63歳)もよく番組を見て若手芸人のチェックをしており、いまだに自分で新ネタを作ったり、若手と一緒に番組でネタを披露したりしている。彼らは若手のことをライバルだと思っているのである。だから負けないためにも60歳を過ぎても勉強をして実戦で戦っているからこそ若い世代のテレビ視聴者からも絶大な人気を得ているのである。


「さんまさんにプライベートで飲みに連れていってもらったことがあるのですが、さんまさんと話をしていて60歳を過ぎた人と話をしている感覚はありませんでした」と、とある芸人から聞いた。さんまは特に特殊な例ではあるかもしれないが、大御所のお笑い芸人は常に若い感覚も兼ね備えているのである。だから世代交代せずにいまだにTVで活躍できているのだ。


 落語の世界も同じである。弟子が何人もいる師匠が引退せずに表舞台に立ち続けている。そして弟子にその姿を見せて勉強させているのである。ある落語家が次のようなことを言っていた。

「いくつになっても師匠から学ぶことがたくさんあります。師匠もまだまだ勉強中だと言っていました」

 教える立場の人が現役バリバリで働いているというこのお笑いの世界は他の業種と比べてかなり特殊なのかもしれない。


 BIG3を始め、その他60歳を過ぎてもお笑い界で活躍している大御所芸人は後輩のために見本を見せ続けてくれているのである。お笑い界は後輩に道を譲らないと下が育たないという世界ではないのだ。60歳を過ぎても活躍し続けている芸人がいる限り、お笑い界は衰退しないであろう。


文/AbemaTIMES編集部