金正日氏(左)と金正恩氏

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マレーシアのアフマド・ジャハド・ハミディ副首相は16日、記者団との懇談で、殺害された金正男(キム・ジョンナム)氏の身元確認について、「政府関係者が(遺族それぞれの居住国に)行って(DNAサンプルを)採取した。これをマレーシアに持ち帰り、鑑定した結果、遺体の身元が正男氏であるという事実を確認することができた」と説明した。

ただ、ハミディ氏は、マレーシア当局者が訪れた国や訪問した時期、遺族のどの人物のDNAサンプルを持ち帰ったかについては明らかにしていない。

正男氏には、先日ビデオを公開したキム・ハンソル氏とその妹のソリ氏以外にも子供がおり、遺体の処遇の今後については見通せない状況が続いている。

しかしそれにしても、北朝鮮の金王朝のDNAに、これほど注目が集まる日が来るとは思わなかった。そして、問題がこれほど複雑化する原因の一端は、正男氏と金正恩党委員長の父・故金正日総書記の女性遍歴の激しさにあると言えるだろう。

金正日氏の女性関係については、明らかになっているだけでも5人の女性が彼の妻(あるいは愛人)となり、うち4人が彼の子どもを生んでいることがわかっている。それでも飽き足らず、国中から美女を集めて「喜び組」を作ったのも周知のとおりだ。

金正日氏が、妻たち以外に何人の女性と関係を持っていたかについては、推測に基づく数字すら出ていない。

彼の妻のひとりであるソン・ヘリムの甥で、1982年に韓国に亡命、1997年に金正日の指示で派遣された工作員に暗殺された李韓永(イ・ハニョン、旧名李一男)は生前、金正日のそばには常に「◯◯宅」(◯◯夫人)と呼ばれる女性らが入れ代わり立ち代わり寄り添っていて、いったい何人の女性と付きあってきたのかわからないと証言している。

その中の1人が、絶世の美女と言われた女優の禹仁姫(ウ・イニ)氏だった。

60〜70年代の北朝鮮映画界にトップスターとして君臨し、著名な脚本家である夫のリュ・ホソンとの間に2人あるいは3人の娘をもうけていた禹仁姫(ウ・イニ)氏だが、数十人ともそれ以上とも言われる幹部や金持ちと浮名を流していた。

そして、ある浮気相手の男性が事故死したことから彼女の私生活に当局のメスが入る。これを受け、自分の女性関係が父親にバレるのを恐れた金正日氏が、彼女に適当な罪名を与え、公開処刑にしてしまったのである。

(参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

そのときの様子は、複数の脱北者証言により詳細に伝えられている。

とくに、目撃者証言を参考にしたと思しき韓国の小説『神の女』の描写は生々しい。それによると、禹仁姫氏に向けて7人ほどの射手が機関銃を一斉射撃。ボロキレのように変わり果てた彼女の姿が柱にくくりつけられていたという。

これは、1980年に起きたとされる出来事である。それから今に至るまで金王朝のやりたい放題が続いている現実の前で、愕然とするばかりだ。