メーカー選手権のヒーローたち【フォードGT40・前編】

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スポーツカーレースの黎明期を支えたメーカー選手権

自動車レースは、ドライバーが腕を競うフォーミュラレースと、マシン製造者が鎬を削るスポーツカーレースに大別できる。現在で言うなら前者がF1GPで後者がWECということになるだろうか。

ともに1950年代に世界選手権がスタートしているが、フォーミュラのトップカテゴリーであるF1は、もちろんテクニカルレギュレーションは何度も変更されてきたものの、カテゴリーとしては(極初期にはF2マシンが混走したり主役だったりしたこともあったが、その数少ない例を別にすれば)常にF1マシンが使用されてきた。

これに対してスポーツカーレースのほうは、スポーツカーだったりレーシングスポーツだったりプロトタイプカーだったりと主役が何度も交代。それどころかシリーズタイトルさえも何度も何度も掛け替えられている。

だからF1マシンを振り返るときには年代で区切ればそれでこと足りるのだが、スポーツカーレースの場合は話がややこしくなってくる。ただ、そんな複雑な変遷を重ねてきたスポーツカーレースの最高峰だが、その黎明期を支えたのがメーカー選手権だったことは紛れもない事実。

厳密に言うなら1962-1967年はInternational Manufacturers Championship(国際マニュファクチャラーズ選手権)、1968-1971年はInternational Championship for Makes(国際メーカー選手権)、そして1972-1980年にはWorld Championship for Makes(世界メーカー選手権)と推移しているが、この約20年をメーカー選手権の時代とし、今回から当時のシリーズに参戦し世界中の耳目を集めた名レーシングマシンを紹介することにしよう。

最初に登場するのはやはり、ル・マン24時間レースで1966年から69年まで4連覇を果たしたフォードGTだ。

フェラーリを買収するプランが一転して誕生したGT40

アメリカでビッグ3の一翼を担っていたフォードは、1960年代に入ってイメージ戦略からモータースポーツ活動に力を入れることになった。そしてその目玉となったのが、当時のスポーツカーレース、とりわけル・マン24時間レースで敵なしの活躍を見せていたフェラーリの実戦部隊、スクーデリア・フェラーリを買収するプラン。

だがこれはエンツォ・フェラーリが激高して交渉決裂し、次善の策としてイギリスのコンストラクター(レーシングカー製造者)であるローラ・カーズとジョイントしてオリジナルマシンを製作することになったのだった。

プロトタイプを経て64年にはオリジナルモデルが完成。フォードGTとしてお披露目されたが、全高40インチ(1040mm)と低いシルエットが強調されておりいてGT40の愛称を授けられ、がてそれが本名になっていく。オリジナルモデル(=Mark 機砲魯好繊璽襦Ε皀離灰奪にFRP製のカウルを纏うパッケージングを採用。

当時のレーシングマシンとしては一般的なアルミ・モノコックに比べると若干重くなる欠点はあったが、量産メーカーのフォードにとっては手慣れた手法だった。搭載されたV8エンジンは、プッシュロッドだが4.7リッターの大排気量から350馬力を発生。

野太いトルクをひねり出すことで、ライバルだったフェラーリ275Pのパフォーマンスを上まわっていた。

ただしデビュー戦となった64年のニュルブルクリンク1000kmも、ラップレコードをたたき出した同年のル・マン24時間もともにリタイヤ。ライバル・フェラーリの牙城を崩すには至っていなかった。

1966年のル・マンでは表彰台を独占した

Mark気鮴什遒靴織侫ード・アドバンスド・ビークルズはその後、フォードGTのロードゴーイングモデルの製作に専念し、代わってシェルビーが車両開発とレース活動を担当することになった。

彼らはMark気離轡磧璽靴魘化するとともに、エンジンを彼らが自らチューニングした7リッターの大排気量ユニットに交換。こうした変更が功を奏し、66年のル・マン24時間では表彰台を独占。ヘンリー・フォードの悲願が達成されることになった。

ホワイトボディにボンネット部分をブラックアウトした9号車は64年製のプロトタイプで、2016年にル・マン制覇40周年記念プログラムが催されていたグッドウッドで撮影。

ホワイトボディに黒のストライプを配した#16号車は67年製のMark気09年にル・マンのサーキット博物館で、ガンメタリックのボディにツインストライプが映える個体は66年製のMark兇12年にマトラ博物館で、それぞれ撮影。

なおエンジンはプロトタイプに搭載されたものでフォードのサテライトチームとしてだけでなく、NASCARなどのエンジンチューナーとして知られるホルマン・ムーディ(holman moody)のロゴが入ったカムカバーは、もちろんノンオリジナルの装備だ。

(写真:Ford media/原田 了)