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米Intelは3月19日(米国時間)、同社とMicronが共同で開発してきた3D Xpoint TechnologyをベースとしたOptane Memoryを利用した、Optane SSD DC P4800Xを発表した。この概要をご紹介したい。

3D Xoint Technologyは、以前から部分的に情報が出ていた技術(Photo01)で、2015年9月に公式に発表されている。これと時期が前後するが、この3D Xpoint Technologyを利用した製品の名前がOptane Memoryになることも2015年中にアナウンスされている。

2017年1月に発表されたIntel 200シリーズチップセットでは、Kaby Lakeだけでなく、Optane Memoryへの対応が謳われており、あとはいつ製品が登場するかという点が問題になっていたのだが、まずはデータセンター向け製品が投入されることになった。

今回発表されたのは、Optane SSD DC P4800X(Photo02)。フォームファクタはPCIeタイプ(AIC:Add In Card)とU.2で、容量は375GB/750GB/1.5TBを用意する。既存のSSD DC P3700シリーズの後継という位置付けであるが、置き換えというよりはむしろ併用といった感じの使い方を考えているようだ。

ただし、性能は圧倒的である。SSDに要求される4つの指標(Photo04)で、Optane SSDは従来製品を大幅に上回るとしている。具体的な結果としては、まずLatency vs Load(Photo05)では、どれだけIOPが増えてもLatencyはほとんど悪化せず、バラつきが極端に少ない事も示された。加えていえば、P3700ではIOPsが33万辺りで頭打ちになっているのに対し、P4800では52万IOPsあたりまで延びているのもポイントとなる。

ただ、いくら何でも縦軸が荒すぎる(P4800XのLatencyが見当つかない)ということで、縦軸を対数にしたのがこちら(Photo07)。52万IOPsを超えたあたりで急に跳ね上がっているが、その手前まででいえばおおむね10〜70μsecの範囲にLatencyは収まっており、100μsec以上となるNAND FlashベースのP3700に対する性能差は明白である。ただ右にある「<10μsec Latency」はちょっと誇張があるように思うが(あるいは「<100μsec Latency」のTypoだろうか?)。

次がQueue Depthとスループットの関係である。一般論としてQueueを深くすればするほど性能改善には有利であり、実際P3700は比例とはいわないまでも、右肩上がりのグラフを維持していることでこれが確認できる。

対するP4800もある意味傾向は同じだが、だいたいQueue Depthが11〜12程度がピークであり、またそこまでのグラフのカーブがより急である。つまり従来のNAND Flashベースに比べてより浅いQueue Depthでも十分な性能が確保できる、としている。

先のPhoto05/06とちょっと関係するが、LatencyというかRead Responseのバラつきを見たのがPhoto08である。P4800Xの場合、時間が経過してもResponse Timeは100μsec未満に収まっているので、99%のIOTのレスポンス時間もこの範囲に収まっている。

対してP3700の場合、平均という意味では300μsec程度以内に収まっているが、外れるときは3000μsec程度までLatencyが増えており、しかもその頻度が割と多い。

このアクセス時間とResponse Timeの関係は、長期で見るともっと分かりやすい(Photo09)。Random ReadとRandom Writeが混在する場合、どうしても長期的にはNAND FlashのResponse Timeは悪化する。これはNANDの構造に起因するもので避けられないのだが、原理的にこの問題を回避できるOptane Memoryでは、Read/Writeが混在してもResponse Timeが全く悪化しないのが大きなメリット、とする。

またNAND Flashでも、特にMLC/TLCは寿命の短さが大きな問題になっているのはご存知の通りであるが、この観点でもOptane SSDにはメリットが大きいとしている(Photo10)。

もっとも以前の説明では「NAND Flashと比べて書き込み寿命が1000倍」という話だったので、それに比べると案外少ないという感じもしなくはないが。ただDWPDが30以上、というのはキャッシュサーバーとか、仮想化環境でのホストドライブなど、書き換えが激しい環境でも利用できる事を示している。

こうしたOptane Memoryの特徴を生かす使い方としてIntelが提唱しているのは、既存のSSDの置き換えではなく、「DRAMとSSDの間を埋める」というこれまたPhoto01の繰り返しの様な議論である(Photo11)。

単純にDatabase Storageを既存のSSDから置き換えた場合(Photo12)では、トランザクション性能が一桁上がり、当然トランザクション辺りのコストは下がる計算になる。ただこうした直接的な方策よりも、IntelとしてはMemoryの代替をむしろ積極的に推している感じだ(Photo13)。

IntelがOptane SSDと一緒にXeon向けに提供するIntel Memory Drive Technologyを使うことで、P4800Xをそのままメモリ専用デバイスというか、メモリとして扱えるようになる様だ(Photo14)。

逆にいえば、このMemory Device Technologyが利用できる、というのがXeonのメリットとしてアピールしたいようだ。実際の事例としては、768GBのメモリを搭載したケース vs 128GBメモリ+P4800X 375GB×4で比較を行い、GEMMでは1.1倍の性能アップ、MySQLでは80%の性能を維持、という結果が出ているとする(Photo15)。

いうまでもなくDRAMの搭載容量には限界があり、Optane SSDを使うとこれを遥かに超えるメモリが利用できるから、これまでは不可能だったようなアプリケーションでも十分利用できる(Photo16)という。

すでに多くのエコシステムパートナーがこのP4800Xに対応しているとしており(Photo17)、Photo03にもあったように4月19日より一部の顧客に対して早期出荷を開始、本格量産に入るのは2017年後半になる。

ちなみに価格は現時点で未発表であるが、Photo12の数字を基にすごくラフな試算をすると、

・P3700(400GB) : 1395TPS×$10.09/TPS ≒ $14076
・P4800X(140GB): 16480TPS× $0.90/TPS ≒ $14832

となる。ただこれはシステムコスト全体の話なので、SSDのコストそのものではない。つまりシステムの違いはSSDのみで、その差は800ドルほどになる。現在のP3700 400GBの値段は、米国Amazonで大体800ドル程度だから、P4800Xの試作品の値段は1600ドルになる計算だ。

ただ恐ろしいのはこの試作品、容量が140GBでしかないことで、仮に375GBの量産品が容量そのまま比例関係でコストが上がると考えると、$4285.7ということでほぼ50万円という恐ろしく高価なSSDの登場になる。さすがにここまで値段が上がるとは思いにくいが、いくらくらいの値段で発売されるのか興味がある。

(大原雄介)