アメリカのトランプ大統領が議会に提出した予算教書が今のアメリカを如実に物語っている。マルバニー行政管理予算局長は声明で「これ以上の地球温暖化の研究は税金の無駄」だと言い放った。実際に環境問題に対する予算は大幅に削減される見込みだ。アメリカは自国のことで精いっぱいで世界規模のことまでは気にしていられないということだろう。

 G20がドイツで開かれたが、やはり主役はトランプ大統領だった。彼の唱える「保護主義」政策を否定するような文言を取り除くようにという圧力がかかったのだ。結果、共同声明の発表はギリギリなものになった。これまでのアメリカならびに先進国は自由貿易を推し進めてきた。文句を言ってきたのはそれこそ保護主義的な傾向のあった中国や後進国だ。話は逆転してきている。

 トランプ大統領の予算教書の内容には期待した市場関係者は多い。事前に大きなサプライズがあるという話もあっただけに、市場を活性化させるだけの取り組みが盛り込まれているかと思いきや、今までトランプ大統領が言い続けてきたことと何も変わりのないものであった。保護主義的な要素ばかりが目に付く予算教書は、軍事費や国防費の増額ばかりで、具体的なインフラ投資や大型減税などの話はない。環境問題やアメリカ国外への支援は完全に後回しにされている。アメリカへの失望感は大きい。それが市場のドル売りにつながっている。

 ドイツのメルケル首相とホワイトハウスで会見したトランプ大統領だが、完全に互いの主張はすれ違っている。ドイツの移民受け入れに対して「破滅的な誤り」と言い放ったトランプ大統領への不信感はさらに募る結果になっただろう。アメリカはすでに自国保護の意見を一方的に言うだけのクレーマーで、リーダーシップは完全に喪失している。

 4月に日米の経済対話があるということで、G20に先駆けて麻生財務相とムニューシン財務相が打ち合わせをしたそうだ。麻生財務相はアメリカの保護主義に釘を刺している。

 トランプ大統領は自国の貿易赤字や製造業の不振はドル高のせいだと思っている。現状は意図的にドル安へ誘導されているのかもしれない。多くの指標が出し尽くして、多くの声明を聞いた状態で現在のドル円の為替相場だと考えると、しばらくはこのトレンドに変化はないかもしれない。