ルヴァンカップのFC東京戦で0-6と大敗。中二日でリーグ戦4節・柏戦を迎えるなか、「どう立て直すか」が焦点だった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第4回。テーマは「反発力」だ。3節・神戸戦(0-2)に続いて、ルヴァンカップのFC東京戦でも敗戦(0-6)。4節・柏戦まで中二日と時間のないなかで、いかに立て直しを図ったのかを振り返ってもらった。
 
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[J1リーグ4節]柏 0-1 仙台/3月18日(土)/柏
 
 特別な日の特別な試合だった3月11日の3節・神戸戦で敗北。3月15日に行なわれたルヴァンカップのFC東京戦では大敗を喫した。まずはメンタル面の回復を図らなければいけないと考えた。ただ、柏戦までは中二日とタイトだった。
 
 FC東京戦でまず気になったのは、選手たちの腰が少し引けていたこと。アグレッシブさを取り戻すと同時に、現実的な戦い方を考えると、守備から入るのもひとつの手段だ。
 
 それまでのリーグ戦3試合では、ポゼッション率で相手を上回っていた。それでも神戸戦では一瞬の隙を突かれて2失点したこともあり、まずは無失点で終わることを考えた。
 
 そのうえでのメンタル面だが、「殴られた分は殴り返すぞ」と仙台に戻ってきた日の練習で話をした。これは柏戦で遠征する18人だけではなく、全員に向けて。チームが一丸となって前に進むためにも、そういう強い想いを共有してほしかった。
 
 この「殴り返すぞ」は「得点を奪いに行くぞ」とは直結しない。ディフェンス時に、一歩でも半歩でもいいから、いかに相手に寄せるか、近くで守れるか。それをトレーニングだけでなく、試合中もずっと選手たちに言っていた。
 
 攻撃でやりたいことはたくさんある。だが、第一に念頭に置くべきは「立て直し」。殴るという表現をイメージそのままに結びつけてしまうと、足を掬われる可能性が高くなる。ましてやアウェーでの戦いだ。

 実際に、柏戦では厳しく身体を寄せられていたと思う。シュートを倍以上打たれたけれど(仙台は7本、柏は15本)、フリーだったのは2本程度。きちんとコースを限定していたし、良いパフォーマンスだった。
 
 日立柏サッカー場のピッチ状態が想像以上に良くなかった。事前にマネージャーから「今日は良くない」と情報が入っていて、アップから戻ってきた選手たちも「これまでのようにボール回しをするのは難しい」と口々に言っていた。
「前半は相手にボールを持たせよう」「割り切って、ロングボールを使おう」と切り替えた。柏の最終ラインは高く、背後にスペースがあるので効果的だとも考えた。さらに相手はホームだから前からプレスにくるだろうと予測し、スペースはより生まれるだろうと。

 これは、今季のチーム戦術とは対極と言ってもいい。それでも、勝点3を絶対に欲しかったからこそ、勝負に徹して割り切った。それでも、ピッチ状態が良好だったら、「相手よりもボールを握ろう」と送り出していた可能性もある。勝負の綾だったのかもしれない。
 
 前半の戦いを通じて、カウンターで狙うべき場所は分かっていた。選手たちは無失点であること、守り切ることに注力していたから、そこに気付いていないようだった。

 なので、ハーフタイムに具体的に伝え、「もっとカウンターで出て行ける」と背中を押した。相手陣でプレーする時間が多くなれば、ゴールに近い位置でボール奪取する回数も増えるぞ、と。決勝点のシーンも、富田(晋伍)が高い位置まで勇気を持って出て行き、奪い、シュートしたことがきっかけだった。
 
「殴り返しに行くぞ」と言ったけど、お返しをしたのは自分たちが殴られた相手とは違う(神戸、FC東京)。柏からしたら「俺たちは殴ってないけど」と思ってるかもしれない(笑)。
 
 話は少し戻るが、大切なのは2連敗から反発力を見せられるかだった。その意味でも、この1勝が持つ意味は大きい。それに序盤戦とはいえ、勝つか負けるかで、上位に踏み止まれるのか、中位から下に引きずりまこれるかも変わってきてしまう。
 
 試合後には選手たちに「理想とは違うが、こういう戦い方で勝てることも自分たちの成長であり、幅を広げられたと周囲に示せた。大きな勝利だ」と話した。
 
 最後に、試合直前のミーティングでメンタル面についてはひと言だけ。「意地を見せろ!」と。俺たちはこんなもんじゃないってところを見せてほしかった。それを体現してくれて、逞しかったし、頼もしかった。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は4月1日に行なわれる5節・柏戦の予定。お楽しみに!