機会あって、米国企業の良き企業市民活動を調査することがあった。感心したのは、米国企業が米国の抱いている人種差別、教育、麻薬の問題など、その地域のニーズをいち早くとらえ、タイミング良く活動していることである。

写真拡大

機会あって、米国企業の良き企業市民活動を調査することがあった。感心したのは、米国企業が米国の抱いている人種差別、教育、麻薬の問題など、その地域のニーズをいち早くとらえ、タイミング良く活動していることである。また、米国では、民間ができることは、政府はやるべきでないという考え方が強く、教育、医療、健康、麻薬など社会問題についても民間に期待するという考え方からも来ている。

民間がアイデアを出して、イニシアチブをとって活動するものを地方政府が側面から協力するという官氏パートナーシップが出来上がっているのである。こういう思想が産学協調という形でも見事に出来上がっている。

米国ミネソタ州に、ミネソターハイテクーセンターという団体がある。このセンターは、ミネソ夕の一般企業から会員を集め、企業規模別の会費で運営される任意団体。任務はミネソタ州内に、技術集約的企業が成長し、繁栄する土壌と環境を作り上げ、会員企業に優秀な知識能力を持った学生を送り込めるよう、教育制度と質の改革を図り、高い質の教育の実施、産業と教育の橋渡し、州にふさわしい科学技術方針を作ることにある。

これにより、技術者資源の育成を図り、大企業・中小企業が大同団結して州政府や教育機関に注文をつけていくと同時に、教育改善の活動として機械を学校に寄付し、機械を提供した企業に税金控除の恩典を与え、学生に奨学金を与え、教師を企業で預かるインターン制度、先生のためのローン制度、教育機関とタイアップしての社員のための講座の設置など、産業と教育の素晴らしい相互依存の姿を作っている。

この結果、ミネソタ州内の教育機関を卒業した人が中心になって、500社以上の企業を誕生させている。企業のグループによる地域貢献のあリ方の一つとして日本も大いに参考にしたいものである。

立石信雄(たていし・のぶお) 1936年大阪府生まれ。1959年同志社大学卒業後、立石電機販売に入社。1962年米国コロンビア大学大学院に留学。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員会委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長、財務省・財政制度等審議会委員等歴任。
北京大学日本研究センター顧問、南開大学(天津)顧問教授、中山大学(広州)華南大学日本研究所顧問、上海交通大学顧問教授、復旦大学顧問教授。中国の20以上の国家重点大学で講演している。