米国・ニューヨークで17日、「脱北難民女性:中国での困窮と人身売買」と題したシンポジウムが行われた。現在、国連本部で行われている第61回「国連女性の地位委員会」公式の並行行事として開かれたものだ。

シンポジウムには、複数の脱北女性が参加。北朝鮮から中国へ脱出した後、現地で受けた人権侵害や、中国当局により強制送還された後に北朝鮮の拘禁施設で待っていた虐待について証言した。

たとえば朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の元女性下士官でもあるイ・ソヨン氏は、次のように語った。

「最近、脱北女性たちに対する人身売買は、いっそう酷さを増しています。中国のブローカーたちは脱北女性を売って、1回限りの儲けを得るよりは、より長期にわたる収入源とすることを選ぶようになりました。そのため彼らは、女性らをアパートに監禁し、カメラの前で体を売る性の奴隷にしているのです。しかも、そのようにしてブローカーが得たおカネが女性らに渡ることはないのです」

虐待が日常化

これと同様の証言は、他からも出ている。米紙ワシントン・ポストは昨年、中国のブローカーの証言に基づき、「中国で身を潜めている脱北女性の5人に1人がオンライン上の性風俗業に関わっている」と報じた。

(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

脱北女性たちがそのような仕事に吸収されてしまうのは、中国当局に捕まることを恐れているからだ。食堂などで働いていれば、当局から尋問を受けるリスクが高くならざるを得ない。

脱北者は逃避行の途上であるという特性上、司法機関などに被害を訴え出ることができず犯罪に対して無防備な状態に陥りやすいのである。

中国当局に捕まれば、北朝鮮に送還され、国外逃亡者専用の拘禁施設で拷問などの虐待を受ける。とりわけ、性暴行や強制堕胎など、女性虐待が日常化している実態は、元収容者や関係者の告発により明らかになっている。

中国に在住するデイリーNKの対北朝鮮情報筋によると、昨年11月と12月にも、中国国内で移動中あるいは潜伏中だった脱北者30人余りが、公安当局に逮捕された。全員が丹東に移送され、北朝鮮に強制送還されたと見られる。

シンポジウムの終了後、この会合を準備した米国の人権団体・北朝鮮自由連合のメンバーらは中国の国連代表部を訪れ、習近平国家主席に対し、脱北者の北朝鮮への強制送還を止めるよう求める請願書を伝達したという。

中国当局が間接的にとは言え、北朝鮮における人権侵害を助長しているのは確かな事実なのである。