飛散量が全国平均で昨年の4.4倍になるという、本格的な花粉シーズンを迎えた。この時期に取るべき対策を徹底追及してみよう。
 日本気象協会によれば、花粉数(粒状の細胞)が累積で1平方センチメートル当たり2000個を超えると、花粉の症状が悪化するという。シーズンの累積花粉数が1000個の場合、30個以上飛散する平均日数は11日前後。2000個になると22日、4000個では34日間にもなる。

 「よく、目がかゆい程度なら大丈夫だろう、と甘く考える人がいますが、目の花粉症が原因で網膜剥離や白内障、緑内障になることもあるのです」
 こう警鐘を鳴らすのは、東京・世田谷区の渡辺耳鼻咽喉科医院・渡辺勲院長だ。
 「原因は目を掻くという行為です。掻くことで受ける目のダメージは想像以上に大きく、人によっては試合後のボクサーと同じぐらいに腫れ上がり、悪化することがあります。さらに恐ろしいのは、それが元で感染症になったり、自身が感染源になる危険性があるということ。例えば、アデノウイルスというウイルスが付いた手で何かを触ると、触った場所でウイルスが2週間生き続けます。別な人がそこを触ればウイルスが手に付着し、目をこすれば感染が成立する。花粉症でない人にも感染し、花粉症の人は目を掻くため余計に感染しやすいのです」

 そんな目の花粉症の治療法には、どんなものがあるのだろうか。
 「基本は目薬ですが、目と鼻はセットで考えるべきです。両方に少しでも症状があるのであれば、両方の治療を行うことで相乗効果が得られる。目薬は、抗ヒスタミン薬、遊離抑制薬、そしてステロイド剤の3本柱となります」(専門医)

 このうち抗ヒスタミン薬は炎症物質による充血を防ぎ、遊離抑制薬は炎症物質が出るのを防ぐ作用があるとされる。順序としては花粉が舞う2週間ほど前から遊離抑制薬を使い始め、症状が出てからは抗ヒスタミン薬との併用により効果が高められると言われている。
 ただし、ステロイドは、どちらの効果も持つ万能薬だが、副作用が出ることもあるので眼科医の処方に頼ることが大事だ。
 「いずれにしても、花粉の飛散時期が終わるまで薬を続けること。よくなったと自己判断で服用をやめると、悪化する恐れがあるので注意が必要です」(同)

 発症部位としては、圧倒的に“顔”が多い。本来の花粉症の症状では、鼻をかむ、目を擦るという行為を繰り返しているうちに擦った部分が赤くなっていくことが多いが、擦らなくても炎症が起きることもあり、額や頬、首筋にまで症状が出る人も少なくない。
 「スギ花粉皮膚炎は、食べ物のアレルギーと違って体内に抗原が入ることで起きる炎症ではなく、皮膚に抗原が付着することで症状が現れます。顔にしても体幹にしても、症状は赤くなったり湿疹が出たりで、ピリピリとした刺激感やかゆみを覚えるのが特徴。こちらも、当然のことながら掻くことは厳禁です」(健康ライター)

 その場合、まずは抗ヒスタミン薬を内服し、かゆみを取ることが先決で、その上で顔に使えるステロイド外用薬を塗り、炎症を改善させる。
 社会医学研究センターの片岡敬一郎医師はこう説明する。
 「花粉症は、副交感神経の働きが過剰になり、鼻水などの分泌が促される症状を指します。さらに、血管の収縮や緊張も緩んで症状が強く出る。リラックスした時などに優位に働く副交感神経は、本来であればバランスを取って働いているのですが、現代人は生活習慣が不規則になりがち。睡眠時間も短いか長いかのどちらかに傾き、そのために免疫力が落ちて花粉症の発症に繋がりやすいのです」