春の番組改編

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 3月に入って、春の番組改編が出そろった。一年で最も大きな動きのある時期だけに、今年も「新番組」や「打ち切り」などの悲喜こもごもが見られる。

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 しかし、注目すべきは各番組の動向というよりも、民放各局のカラーがより鮮明になったこと。各局ともに「ウチはこれで行くぞ!」という強烈なメッセージ性を感じる。

■「極端な中高年層シフト」を敷くテレビ朝日

 最大の驚きはテレビ朝日だろう。編成局長が「独創的なタイムテーブル」と掲げた通り、過去に例のない試みが見られた。

【土日21時〜】生放送のニュース系情報番組『サタデーステーション』『サンデーステーション』がスタート
【月〜金曜12時30分〜50分】帯ドラマ枠を新設し、第1弾に倉本聰脚本の『やすらぎの郷』を放送
【日曜10時〜】2時間ドラマ枠『日曜ワイド』を新設

 これによって長年の歴史を持つ『土曜ワイド劇場』『日曜洋画劇場』が完全消滅。つまり、「夜の2時間ドラマや映画は基本的に放送しない」ということになる。これまでテレビ朝日は、昼の『ワイド!スクランブル』『徹子の部屋』、夜の『報道ステーション』『相棒』『科捜研の女』など中高年層を狙い撃つような戦略を採っていたが、春以降さらにそれを推し進めることが明らかになった。

 「テレビ視聴者の高齢化」が叫ばれて久しいが、それを危機感ではなく、好機としてドラスティックに捉えている様子がうかがえる。ただ、中高年層の基本チャンネルがテレビ朝日になる可能性が高い反面、若年層の支持は薄く、将来的な不安は棚上げされたままだ。

■「バラエティとドラマを色分け」した日本テレビ

 視聴率トップの日本テレビは、近年の中では大胆な改編を敢行した。あえて攻めの姿勢を見せた理由は、視聴者の自然なフローを実現させるため。日曜の『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ』『行列のできる法律相談所』の成功例を背景に、バラエティを連続放送する形を徹底した。

【火曜21時〜】『ザ!世界仰天ニュース』が水曜21時〜から移動
【水曜21時〜】『今夜くらべてみました』が深夜枠から移動
【土曜21時〜、22時〜】ドラマ枠と『嵐にしやがれ』を入れ替え

 今期の改編で明確になったのは、「19時からバラエティを連続放送して、ドラマは22時以降」という色分け。前者はファミリー層、後者は大人と若者の両取り狙いが、視聴率を稼ぐ最適な方法という同局の見解が見て取れる。

 視聴率がトップである以上、王道の方法で臨むのはセオリーだが、タイムテーブルを固定化しすぎると「似た番組ばかり」になるリスクが高まる。もし高視聴率を獲得し、他局が追随したら、「19時〜は似たバラエティばかり、22時〜はドラマ枠がかぶる」という弊害を生みかねない。

■「既存番組の強化・定着」を狙うTBS

 TBSは近年の好調を受けて改編は最小規模。視聴率トップの日本テレビを猛追しているだけに、「番組を変えるのではなく、できるだけコーナーリニューアルなどのテコ入れで臨もう」という意図が見える。

【日曜19時〜】クイズ番組『東大王』がスタート
【月〜金曜8時〜】『白熱ライブ ビビット』の井上貴博アナと、【月〜金曜3時53分〜】『Nスタ』の堀尾正明が入れ替え
【土曜5時30分〜】『上田晋也のサタデージャーナル』がスタート

 『クイズ スター名鑑』の後番組に『東大王』を起用したのは、20時〜の『ピラミッド・ダービー』と併せて、「クイズ番組2本立てを続行させよう」という狙いか。ただ、内容がニッチなだけに、「日曜夜は日本テレビに太刀打ちできない」状態が続くかもしれない。

 それよりも『水曜日のダウンタウン』『人間観察バラエティ モニタリング』『プレバト!!』など好調が続く番組に力を注ぐだろう。「個々の番組を強化・定着させ、自力を蓄える」という次期トップのムードが漂っている。

■「老舗番組の続行」を決めたフジテレビ

 フジテレビの改編も最小規模。編成部長が「視聴者に番組が定着するためのガマン」とコメントしたように、昨年大幅な変化を見せた分、動きは少なかった。

【火曜20時〜】『潜在能力テスト』がスタート
【水曜22時〜】『良かれと思って!』がスタート
【土曜19時〜】『クイズ!金の正解!銀の正解!』がスタート

 これにより、内村光良MCの『クイズやさしいね』が終了。南原清隆MCの『爆笑キャラパレード』が深夜枠に移動と、ウッチャンナンチャンには厳しい改編になった。

 同じ大物芸人でも老舗番組の『とんねるずのみなさんのおかげでした』、『めちゃ×2イケてるッ!』は続行が決定。何度となく低視聴率が取りざたされた月9ドラマも続行することが明らかになった。いずれも「継続は力なり」の精神で復活を期している様子がうかがえる。

 その他で期待が大きいのは、1992年にナインティナイン、極楽とんぼ、よゐこらを輩出した次世代スター発掘番組『新しい波』の最新版『新しい波24』。深夜番組からスターを生み出し、ゴールデンタイムに送り込むことができるか。

■似た番組が増える中、オリジナリティ勝負に

 おさらいすると、テレビ朝日が「中高年シフト」、日本テレビが「バラエティとドラマの色分け」、TBSが「既存番組の強化・定着」、フジテレビが「老舗番組の続行」。やはりテレビ朝日の改編は異質だが、他の3局は「同じ時間帯に似たテイストの番組をぶつけ合う」形になる。

 一方、連ドラも、相葉雅紀主演の『貴族探偵』(フジテレビ系、月曜21時〜)、小栗旬主演の『CRISIS〜公安機動捜査隊特捜班〜』(フジテレビ系)、天海祐希主演『緊急取調室』(テレビ朝日)、長谷川博己主演の『小さな巨人』(TBS系、日曜21時〜)などの事件解決系が多く、ここでも狙いがかぶっている。

 各局のマーケディングが進むほど、バラエティもドラマも視聴率狙いで、似たテイストや狙いの番組が増えていく。どういう形でオリジナリティを見せていくのか。今ごろプロデューサーと演出家たちは、頭を悩ませながらも意欲に燃えているのではないか。(木村隆志)