「残像」ポスタービジュアル

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 2016年10月に死去したポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダ監督の最新作で、遺作となった「Powidoki」が邦題「残像」として6月10日に公開する。

 第2次大戦後のソビエト連邦下におかれたポーランドで、社会主義政権による圧制と闘い続けた実在の前衛画家、ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの生涯を描く。ワイダの死のひと月前にトロント映画祭マスター部門で世界初上映され、2017年アカデミー外国語映画賞ポーランド代表作品に選ばれた。撮影監督は「戦場のピアニスト」のパベウ・エデルマン。

 マレービチの助手を経て、彫刻家の妻カタジナ・コブロと共にポーランド前衛芸術の基盤を築いたストゥシェミンスキ。スターリンによる全体主義に脅かされながらも、カンディンスキーやシャガールらとも交流を持ち、情熱的に創作と美術教育に打ち込んだ。しかし、作品に政治を持ち込むことを拒み、党規則に反する独自の芸術の道を進んだため迫害され、やがて芸術家としての名声も、尊厳も踏みにじられていく。その晩年の姿は、全体主義に対するアーティスティックなレジスタンスのシンボルとなった。

 このほど公開されたポスタービジュアルは、政府によって作品が排除された美術館の展示室、スターリンの肖像が描かれた巨大な垂れ幕が、画家を追い詰めた独裁政権の歴史を物語る。戦争によって手足を失ったストゥシェミンスキが松葉杖に顔を寄せる姿に、激動の時代を生きる苦悩と不屈の闘志が投影されている。

 「残像」は6月10日、岩波ホールほか全国公開。