アメリカ企業における男女平等の実情 現場はジェンダー多様性を実感できていない

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 日系企業の女性登用は遅れている、一般的にこのような考えが多いのではないだろうか。だが、女性登用により先進的と考えられているアメリカにおいても依然課題は多いのが実情のようだ。

 FacebookのCOOであるシェリル・サンドバーグ氏が、女性の社会進出を支援する目的で設立したNPO法人、LeanIn.Orgと米マッキンゼーアンドカンパニーが共同で行っているアメリカ企業で働く女性の実情をまとめた「Women in the Workplace 2016」という調査レポートがある。本レポートは、「職場での女性のリーダシップや男女平等を推進するための情報をまとめること」を目的とし、132の企業(合計460万人以上を雇用)の人事関連データや人事部への調査、3万4000人以上の雇用者のジェンダー・仕事満足度・野望・ワークライフバランス等の態度を測定したデータを基に作成されている。

 アメリカの階層別の女性登用状況は、エントリーレベル(マネジャー以下の層)においては、女性比率は46%とほぼ男女半々のレベルだ。しかし、マネジャーにおいて女性比率は37%に落ち、階層が上がるごとに女性比率は低下している。経営幹部レベル(C-Suite)になると、女性比率は19%だ。

 このレポートで一貫して指摘されているのは、日々の業務レベルでの男女平等の実行・実感の低さである。マネジャーの51%はジェンダー多様性を改善するために何をすべきか分かっていると答えているが、実際にマネジャーがジェンダーバイアス的言動や態度を注意しているのを見たと回答した従業員は24%のみであった。男女平等は個人的に優先度の高い課題であると捉える割合は階層が上がるごとに高まり、企業もビジネス上優先度の高い課題であるとしているにも関わらず、その意識は全従業員に共有されず、現場で実行されていないと感じる人が多いのが現状だ。

 また、マネジャーによるジェンダー多様性の推進に関する全項目において、女性の方が男性よりも数値が低かった。女性の立場から見たときにまだまだ実情は追いついていないようだ。

 他にも上記のような上層部と現場の意識の乖離が垣間見えるデータが多々ある。例えば、実績評価に明確な基準を採用していると回答した企業が93%なのに対して、実際にそれが実行されていると感じた従業員は57%に留まった。

 本レポートではアメリカ企業が男女平等の推進において、次に何をすべきかの指針が示されているが、日本企業への示唆も含んでいる。ボトムアップの文化がより強い印象のあるアメリカ企業であっても、現場レベルでの男女平等は進みにくい。ならば日本企業においては殊更にその傾向があるだろう。まずは上層管理職の意識を改革し、男女平等が喫緊の課題であるとより強くトップダウンで示しながら、その上で、このレポートが指摘する現場レベルでの浸透・共有を進めていく施策を講じる必要があるのではなかろうか。

photo via CC0 Public Domain