海上自衛隊の最新鋭護衛艦「いずも」が5月から約3カ月間、南シナ海とインド洋に派遣される。南シナ海の軍事拠点化を進める中国をけん制する狙いとみられ、中国は「責任のある役割発揮を」などと警戒している。写真は「いずも」。

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2017年3月17日、海上自衛隊の最新鋭護衛艦「いずも」が5月から約3カ月間、南シナ海とインド洋に派遣される。ロイター通信などが報じた。長期の航海で戦力向上を図るとともに、南シナ海の軍事拠点化を進める中国をけん制する狙いとみられる。中国政府は平静を装いつつも、「責任のある役割発揮を」などと警戒している。

「いずも」は15年3月に就役したばかりで、基準排水量19500トン、全長248メートル。外観は空母と同じで広い甲板を備え、対潜水艦戦などにヘリコプター9機を同時に投入できる。

ロイター通信によると、「いずも」は5月初めに日本を出港し、同月中旬にシンガポールで行われる国際観艦式と国際共同訓練に参加する。7月中旬には日本、米国とインドがインド洋で実施する共同訓練「マラバール」にも参加する予定だが、それまで日本にいったん帰港せず、南シナ海に約2カ月とどまる。

海自はインドネシアのジャカルタ、フィリピンのスービック、スリランカのコロンボへの寄港のほか、南シナ海での米海軍との共同訓練などを調整中。フィリピンではドゥテルテ大統領を艦上に招待することも検討しているという。

派遣の意味については「中国が南シナ海で人工島の造成を進める中、海上交通路(シーレーン)への影響を懸念する日本は、中国と領有権を争うフィリピンやベトナムなどの軍事力向上を支援してきた。同海域での哨戒活動や、米軍の『航行の自由作戦』への参加は見送ってきたが、新たに護衛艦を長期派遣することで自衛隊の関与を強める」と報じた。

「いずも」の長期派遣について、中国外交部の華春瑩報道官は14日の記者会見で「中国は懸念しているのか」と聞かれ、「全く懸念していない」と返答。「もし一般的な意味での複数の国家を訪問するために、南シナ海を通過するならば、中国側は何ら異議を唱えるものではなく、むしろ関連国家間の正常な交流が地域の平和と安定を促す役割を発揮することを希望している」と述べた。

その一方で、華報道官は「最近、日本側は南シナ海問題において確かにもめ事を起こすような、扇動的な方法をとっている」とも指摘。「日本側が地域の平和と安定に対し、本当の意味での責任のある役割を発揮するように望む」とクギを刺した。

中国共産党中央委員会機関紙・人民日報系の環球時報(英語版)は、ロイター電を引用して「日本のこの地域における第2次世界大戦以来、最大の海軍力の展開」と紹介。中国の海軍専門家の「最大艦の派遣は南シナ海問題に介入しようとする日本の固い決意の表れ」との見解を伝えた。

さらに、この専門家は「日本の狙いは中国の安全と経済発展を妨げ、アジア・太平洋地域での発言権を高めることにもある」「他の東南アジア諸国と連携して中国を孤立させようともくろみ、この地域に干渉しようとしている」と非難。「いずも」派遣に警戒感をあらわにしている。(編集/日向)