メキシコとの国境に壁を築く計画の大統領令に署名するためにペンのふたを取るトランプ氏(2017年1月25日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】大統領選で掲げた公約を速やかに実行に移したいドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領だが、議会や司法の判断、型破りな自身の政治スタイルが足かせとなって、就任から55日を経ても、その気概をほとんど示すことができずにいる。

 トランプ氏が最も重視する2つの公約は、いまだ達成されていない。難民とイスラム圏の一部の国からの入国を一時禁止する2つの大統領令は、いずれも裁判所が執行停止を命じた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領の下で導入された医療保険制度改革(通称オバマケア、Obamacare)の代替法も、トランプ氏の成立への大きな意欲と裏腹に、共和党内からも反対の声が出て議会の審議が遅れている。

 トランプ政権の最初の2か月で証明されたのは、米大統領権限には憲法上の制限があることと、政治経験がなく周囲も政治初心者で固めた大統領の「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング、職場内訓練)」は習熟度が低いということだ。

■分かりにくいマネジメントスタイル

 トランプ氏が推進する主要な法案は、オバマ政権時代に成立した金融規制改革法と環境規制、銃規制の3つの法規制を撤廃したことを除けば、まだ1つも議会を通過していない。これまでに同氏が署名した30件もの大統領令の大半は、長期的な目標に関する政策指針か布告だ。

 入国禁止令をめぐる騒動は、トランプ氏率いるホワイトハウス(White House)のこれまでの行動の即興的な性質を浮き彫りにするものだ。

 これは、トランプ政権の閣僚人事が上院で前例にないほど強い民主党の抵抗に遭い、全ての席が埋まっていないことにも一因がある。しかし、制度上必要な手続きを一部迂回してまでも迅速な行動を急ぐ姿勢は、皮肉にも、とりわけ外交政策において、大統領のメッセージを不鮮明にしてしまっている。

「マネジメントスタイルが極めて分かりにくい大統領だ」と、セントルイス・ワシントン大学(Washington University in St. Louis)のスティーブン・スミス(Steven Smith)教授(政治学)は言う。「予期せぬやり方で、ささいなことに首を突っ込んでくる時もあれば、関心を示さず他の人々に任せる時もある」

■「ディープ・ステート」

 数々の障害に直面したトランプ氏と支持者らは、判事たちを政治的だと批判し、メディアは偏向していると激しく非難している。

 トランプ氏の支持者らは、情報機関を利用し報道メディアへのリークを通じてひそかに大統領を操作しようとする官僚たちの陰謀、いわゆる「ディープ・ステート」があると主張し、抗議している。この考え方は極右の一部に非常に人気だが、専門家は懐疑的だ。

「私の経験から言えば、米政府に関する情報リークの大部分は、ホワイトハウスと議会が発信源だ。情報機関の内部からではない」と、米中央情報局(CIA)元職員のジョン・サイファー(John Sipher)氏はセキュリティーに関する言論・ニュースサイト「サイファーブリーフ(The Cipher Brief)」に書いている。
【翻訳編集】AFPBB News