コラム【このMCなぜ凄いのか】

「好きな女性アナウンサー」ランキングで4年連続ナンバーワンに輝いた日本テレビ水卜麻美アナウンサー。さらに29歳にして「上司にしたい女性」ナンバーワンになりました。2位は49歳の天海祐希さんですから、水卜さんが若いながらも頼もしくて一緒に仕事がしたくなる魅力を振りまいている証明でもあるでしょう。

 嫌みのないキャラクターから「姉御肌」な部分を感じる人が多いのかもしれません。加えて言えば、他に10位以内に入ったアナウンサーは有働由美子さんと大江麻理子さんの大御所2人。人気と好感度の両方を取れる希有な存在に成長されたのではないでしょうか。

 一般論で言えば、女性アナウンサーは同性からは嫉妬の目で見られがちなので、男性から人気を得られることはあっても、女性からの支持は得にくい部分が間違いなくあります。水卜さんは、アナウンサーらしからぬ「食べること」や「スタイル」で乗り越えてしまいました。彼女の持つ「ギャップ力」の強さに感服します。

 このところのアナウンサー試験では、「水卜麻美さんみたいなアナウンサーになりたい」と答える人が増えているそうです。しかしながら「能ある鷹は爪を隠す」の例えではありませんが、彼女は「よく食べる」「楽しい」だけの人ではありません。実力派として、その「アナウンス力」には僕が日テレ在籍時代にも一目置いていました。入社当時から朝の情報番組を担当したいと言っていた水卜アナには、僕がプロデューサーをしていた「ZIP!」スタート時点から参加してもらいたいと思っていました。ご本人からもそういう希望を伺っていましたが、残念ながらベルト番組のスケジュールもあって出演がかないませんでした。声の安定感と読みのうまさもあったので、朝の番組に出ても人気になったと思いますが、「ヒルナンデス!」との出合いは彼女の可能性を大きく広げたのではないでしょうか?

 僕は昔から「女子アナ」という言葉が嫌いです。あくまで職業としての「アナウンス能力」と「会社員」として制作者と視聴者の間をつなぐ存在が「女性アナウンサー」の仕事だと考えています。僕が仕事をする女性アナウンサーには、常日頃からこのことを話してきました。半分出役、半分スタッフ。そのバランスが視聴者に寄り添う姿勢だと考えます。その意味で、実力と女性共感力を兼ね備えた水卜さんには、バラエティーだけでなく、情報番組や報道番組でもその魅力を発揮してもらいたいと思っています。

▼三枝孝臣(さえぐさ たかおみ)
1966年東京都生まれ。89年に日本テレビに入社、「ZIP!」「スッキリ!!」「シューイチ」など情報番組から、「THE夜もヒッパレ」「DAISUKI!」などバラエティーまで、手掛けた番組は100を超える。2015年に日本テレビを退社。近著に「一流のMC力」(東洋経済新報社)がある。