国が認めた月100時間残業 『25歳OL』がやってみたら、こんな生活

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2017年3月13日に、安倍首相と経団連・榊原会長、連合・神津会長とのトップ対談が行われました。

政府が導入を目指す『残業時間の上限』について、繁忙期に例外として認める残業を、経団連は「月100時間以下」と主張する一方、連合は「月100時間未満」と主張。互いに譲らず、首相に判断を仰いだ形となりました。

この席で安倍首相は、繁忙期に例外として認める残業を「100時間未満」とするように要請し、経団連もこれを受け入れる意向だと言います。

提供:産経新聞社

もちろん、これは「繁忙期に例外として認められる残業時間」に過ぎず、決して毎月の残業時間が100時間まで許されるという意味ではありません。

残業時間の『原則的上限』は月45時間、年360時間で、企業側には可能な限り残業を削減することが求められています。

この会談の結果に対し、インターネットでは「安倍首相が月100時間の残業を認めた」という論調で批判的な意見が目立ちますが、決して恒常的に残業を月100時間まで認めたということではありません。

また、事実上青天井となっている残業時間の上限に、初めて法的な強制力のある規制が設けられることに対し、評価する声があるのも事実です。

しかし、「繁忙期に限る」とは言え、過労死ラインとされる月80時間残業を上回る『月100時間残業』を認めるかのような結論に、違和感を覚える人もいるでしょう。2015年12月に過労自殺した高橋まつりさんの母・幸美さんは今回の結論に対し、「強く反対する」というコメントを発表しています。

では、実際に月100時間の残業をした場合、私たちの生活はどのようなものになるのでしょうか。

25歳女性会社員をモデルに考えてみます。

平日に許される自由な時間は3時間ちょっと?

家事をする時間すらない激務

月100時間の残業をすると、生活はどういったものになるのでしょうか。

平均的な25歳女性を例に見てみましょう。

土日休みの週休2日、祝日は休み就業時間は9〜18時(8時間労働、昼休み1時間)通勤時間は往復で1時間睡眠時間は6時間

30日の月と仮定し、土日祝日を合わせて休日は9日だったとしましょう。この月の出勤日は21日になります。

モデルとなった25歳女性の1ヶ月の時間は720時間(1日24時間×30日)。これは誰もが同じです。出勤日数を21日間としているので、出勤日だけに限定すると504時間(1日24時間×出勤日数21)

しかし、この時間には睡眠時間が含まれています。そこで月の睡眠時間126時間(1日6時間×出勤日数21)を引くと、残りは378時間になります。

1日の労働時間は8時間なので、これに出勤日数の21を掛けると規定の労働時間は168時間。これが繁忙期だった場合は最大100時間程度の残業が認められます。

仮にこの月の残業時間が99時間だったとすると、合計した労働時間は267時間(8時間×出勤日数21日+残業99時間)となり、残りの時間から引くと111時間しか残りません。

通勤には往復で1時間かかるため月に21時間。また昼休みの1時間も労働時間には含まれていないため、同様に残りの時間から引きます。すると残りは69時間

これを出勤日数の21日間に均等に割り振った場合、1日の自由時間は約3時間17分です。ランチ以外の食事の時間や入浴時間、トイレに行く時間や会社に行くための準備の時間すら、この1日3時間17分の中でやりくりするしかないのです。

この自由な時間を多いと捉えるか、少ないと捉えるかは人によって意見が分かれるでしょう。しかし、常識的に考えれば、家事を行ったり、友人と食事に出掛けるといった『余裕』がないことは一目瞭然です。

25歳という年齢を考えれば、ショッピングに行くなど余暇を楽しむ時間が欲しいはず。また、人によってはお化粧などに時間がかかるという人もいるでしょう。

たった1ヶ月のことじゃないか若いうちは修業のつもりで、これくらい受け入れるべき自分が若い時はこんな労働環境が当たり前だった

こういった考えがあるのも事実です。

また、この仮定に対し「100時間残業の月に週休2日が維持できるのか」といった意見もあるでしょう。「休日があれば十分」と捉える人もいるかもしれません。

しかし、中には月100時間もの残業を求められた結果、1日の睡眠が6時間では足りないという人もいます。あるいは通勤に往復1時間以上を要する人もいるでしょう。中にはタイムカードを押した後に「記録に残らない残業を強いられる」という人だっているかもしれません。

「繁忙期に限る」とは言え、本当に月100時間もの残業が認められていいのでしょうか。

「何のために働くのか」「人間らしい生活とはどういったものなのか」

自分の働き方を見つめ、改めて考え直すいいキッカケになることを願います。

[文・構成/grape編集部]