By CollegeDegrees360

人にはそれぞれ個人にあった学習スタイルがある、という概念を基に事前に調査を行ったうえで個人に即した学習法「ラーニング・スタイル」を提供するという方法論が唱えられていますが、この考え方には誤解が多く、まだ理論として十分な裏付けがないという慎重論が唱えられています。

No evidence to back idea of learning styles | Letter | Education | The Guardian

https://www.theguardian.com/education/2017/mar/12/no-evidence-to-back-idea-of-learning-styles

よく「右脳型vs左脳型」「直感派vs理論派」というふうに、人ごとの考え方や物事の捉え方には違いがありそれぞれの人に合ったスタイルで学習を行うとより良く習得が進むという考え方が「ラーニング・スタイル」、または日本語で学習スタイルと呼ばれるものです。確かに、「図解中心」あるいは「文字中心」、「全体論重視」あるいは「各論重視」といったふうに、一つの物事に対してアプローチする方法は人それぞれであり、その人に合った切り口で学習させるという考え方は理にかなったものであると考えられ、世界中でこの方法論が広まっている状況です。



By learning-styles-online.com

しかし、この手法にはまだ問題が残されているという考えも同時に存在しています。その理由は大きく3つあり、一つは「人に合わせられるラーニング・スタイルに一貫したフレームワークが存在しない」ということ。一般的に、個人にラーニング・スタイルを適用する際には「聴覚型」「視覚型」「運動型」の3つの学習スタイルのいずれであるかを自己申告型のアンケートをもとに判断されます。しかし、ある研究ではこのラーニング・スタイルはさらに「右脳型vs左脳型」「全体把握型vs各論重視型」「言語型vs視覚型」など合計で70ものタイプが存在しているという結果も明らかにされており、現時点でのラーニング・スタイルの分類は不十分であるという考え方です。

二つめは、個人を特定のスタイルに分類してしまうことで固定化されてしまい、他のスタイルに自己を合わせることを止めてしまうという弊害が存在していること。



By Alicia Chenaux

そして最も大きな問題とされているのが、ラーニング・スタイルの効果について組織的に行われた研究結果からは、個人に対してラーニング・スタイルに即した方法で学習を行わせることによる結果を証明する証拠が全く、あるいはごくわずかしか確認されていないという事実とのこと。イギリスのEducational Endowment Foundation(学資基金)はラーニング・スタイルがもたらすものは「限られた証拠に基づく、非常に少ないコストで行われる低い効果」であると結論づけています。

イギリスの教育研究者を中心としたグループは、ラーニング・スタイルをあくまで「脳科学の迷信」であるとして、より事実に基づく学習法を見いだすことに注目すべきであるという意見を表明しています。ラーニング・スタイルの方法論そのものが完全否定されたというわけではなさそうですが、より確実な根拠に基づく方法論が求められているというのは間違いなさそうです。



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