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●非日常感がたっぷり
ロボットホテルで話題の「変なホテル」が千葉県浦安市にオープンした。長崎県のハウステンボス店に続く2号店となり、関東初進出となる。どのあたりが"変"なのか。現場を訪れた。

○非日常感な2号店

変なホテルは、ロボットが初めてスタッフとして働いたホテルとして、昨年11月にギネス世界記録の認定を受けた話題のホテルだ。宿泊者のチェックイン・アウトの手続き、窓拭きなどの清掃をロボットが担当する。

その2号店が15日に千葉県浦安市にオープンした。開業したのは東京ディズニーリゾート付近のエリア。だからこそ、メインの宿泊者ターゲットは、ファミリー、カップル、学生であり、館内はエンタテインメント性の高いつくりにしたという。

2号店を入ってすぐにわかるのは、非日常感だ。ジャングルと思わしき、うっそうとした空間に、突如、でかい恐竜が現れる。これは等身大のティラノサウルスらしい。

左手を見渡すと、目に入るのが2体の小型恐竜ロボットだ。そこは受付カウンターになっていた。実際には、ロボットが器用に御用聞きをするのではなく、ロボット恐竜から発せられた言葉通り、カウンター上のタッチパネルを介して、宿泊者は手続きを済ませることになる。

さらにロビーを見渡すと、水槽があり、魚が泳いでいる。よく見ればロボットだ。ほかにも、ゴミ箱の形をしたロボットがロビーにいたり、床を見ると、お掃除ロボットもいる。館内には9種類140体のロボットがいるとのことだ。

ロビーで感じた印象、それは"怖い"だ。受付のヴェロキラプトルの声色と俊敏な動き、ロビーのティラノサウルスとうっそうとした感じ……。ゴミ箱ロボットもなんだか怖い。トータルで考えて、小さい子なら「絶対泣く」と思う。ファミリーがターゲットなのに、「なぜリアルな恐竜を選んだ?」と突っ込みたくなるが、非日常感たっぷりなのはとってもいい。やはり夢の国から現実に戻るのが一番苦痛だからだ。

●統一された世界観
○客室はどうなのか?

次は客室。第一印象は、普通のビジネスホテルだった。入り口にはカードキーの挿し込みがあり、入ってすぐにベッド、机、テレビがあるのがわかる。

普通のビジネスホテルとひとつだけ違うのは、室内にタピアというロボットがあることだ。チェックインシステムと連動しており、入室後に「○○さま(登録名)」で呼びかけてくれるらしい。フロントで泣いた子供も、ここで落ち着きを取り戻せそうだ。

タピアの機能はおしゃべりをするだけでない。音声認識に対応しており、室内照明、テレビ・空調のオン/オフを音声とタッチパネルにより操作できる。ほかにも、じゃんけんゲームをしたり、天気の予報やニュースの読み上げ、アラームの設定なども行える。ホテルのフロントなどへの、外部への連絡には対応していないとのことだが、室内で過ごす上で何かとサポートしてもらえそうだ。

室内では、タピアと恐竜のポスター以外、ジュラシック感はないが、オプションサービスで恐竜の世界を体験できるVRも用意されている。今回は、試せなかったが、イメージ画像を見る限り、小さい子には、やっぱり怖いんじゃないか。これまた「なぜ子供が泣くコンテンツで攻めてきた?」とも思うのだが、ちょっと不思議なくらいがミステリアスでちょうどいい、としておきたい。

○レストランは?

朝起きたら朝食だ。ビュッフェスタイルで食事が楽しめるレストラン「ジュラシックダイナー」がロビーのある1階に併設されている。料理は和洋中約40種から選べ、スペース中央に洞窟が設置されていて、ちょっとしたわくわく感があるつくりになっている。何より、パフェが自作できるコーナーがあり、前夜に泣きまくった子供も「パフェ作り夢中→また来たい」なんてこともあるかもしれない。

ちなみに、客室のベッドメイクや清掃、レストランの料理に関しては外部業者を活用、このあたりはロボットが担当しているわけではない。

●コンセプトがリピート客を生む
○世界観の統一と演出

2号店をひと回りしてみると、フロント、ロビー、レストラン、客室のすべてに恐竜時代の"ジュラシック感"があり、世界観が統一されていることに気づく。この演出は重要だ。

ディズニーリゾートを出て、味気ないビジネスホテルに泊まるよりも、ロボットと演出で非日常感をさらに味わえるほうが、誰もがいいと思うはず。近隣のビジネスホテルと同価格帯であれば、なおさら変なホテルのほうに分が上がる。恐竜とロボットばかりが見える2号店は、やはりちょっと変わったホテルだったわけだ。

そうした感想で締めたいが、「ちょっと変わったホテル」という認識は少し誤解を生んでしまう。他とは違った変わったビジネスホテルがコンセプトの中核にあるわけではないからだ。

コンセプトの中核は「常に進化し続け、日々変わっていくホテル」である。ホームページを開いても、そこには「変わり続けることを約束するホテル」とあるのだ。ロボットが人力部分を担い、究極のローコストホテルの実現という経営的な側面がありつつ、宿泊者に向けたサービスとクオリティの向上も同時に追求しているという。

実際にハウステンボス内の1号店は変わっていっているようだ。宿泊者にアンケートをとっており、顧客からの改善要望を取り入れ、ホテルを進化させている。

エイチ・アイ・エスの澤田秀雄社長は「ロボットだと、ロビーが寂しいと言われるので、ロボットのオーケストラを入れたりだとか、ロボットがカクテルを作るロボットバーを作る準備もしています。変なホテルは常に改善して、進化していく。快適さと面白さは年を追うごとに増していくと思います」と話す。

だからこそ、「記事を見ちゃったから、変なホテルに行く必要はないな」というのは間違いだ。訪れるたびに何かしら目に見える新しさがそこにありそうだ。ビジネス的側面にとどまらず、消費者目線からも面白いホテル、それが変なホテルなのだろう。ということで、現場をくまなく見ちゃった筆者も、もう一度行ってみることにしよう。

(大澤昌弘)