15日、『バブル〜日本迷走の原点』の著者、永野健二氏が日本記者クラブで講演。1980年代のバブルを分析した上で「異次元金融緩和に突き進むアベノミクスの動きは、バブルの序章である」と警告した。

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2017年3月15日、ベストセラー『バブル〜日本迷走の原点』の著者でジャーナリストの永野健二氏(元日経ビジネス編集長)が日本記者クラブで講演した。1980年代に日本経済を襲い、90年代以降の失われた20年を招いた「バブル」について、「日本のリーダーたちは、円高にも耐えうる日本の経済構造の変革を選ばずに、日銀は低金利政策を、民間の企業や銀行は、財テク収益の拡大の道を選んだ。そして、異常な株高政策が導入され、土地高も加速した」と分析。「現在の状況に通じるものがある。安倍首相の株価がすべてを決定するかのようなユーフォリア(熱狂)発言には謙虚さがかけている」と指摘。「異次元金融緩和に突き進むアベノミクスの動きは、バブルの序章である」と警告した。

永野氏は、米国のトランプ大統領の登場とアベノミクスの第2弾のドラマである上昇相場について「バブル含みの相場ではないか。マーケットは天下大乱。上昇もあれば下降もある。10年周期で世界の資本主義は矛盾が出てくる。欧州などまだ矛盾が出尽くしていない。バブルとデフレは繰り返す」と分析した。

同著がベストセラーになった背景として、「読者が構造的に安倍首相の故(ゆえ)のない明るさに対し不安と違和感を持ち、“第2のバブル”のにおいを感じて、関心を抱いているのかと思う」と指摘した。

また、日本銀行など本来バブルの萌芽を摘み取らなければならない専門家が、一部OBを除いて沈黙していると指摘、「警告を発するのがOBを含めた責任ではないか」と苦言を呈した。

バブルの崩壊当初、「株も不動産も半分程度にとどまると思っていたが、実際は5分の1になった。特に権力の中枢にいた人には想定外だった」と強調。「東京の地価が米国全土を上回り、三光汽船の時価総額新日鉄が上回った時に危ないと感じた」と振り返った。その上で「バブルの最中は崩壊リスクがあるかどうか分からない。持続可能ではない要素が出た時に、常識的にみて妥当か分析することが重要だ」と結論づけた。

永野氏は、40年に及ぶ日本経済新聞証券部での経験から「マーケットは長期的にはコントロールできない」という思いを抱き、その体験と反省から、本書を執筆したと率直に明かした。(八牧浩行)