タバコ+アップル=NO-COPD?(depositphotos.com)

写真拡大

 「タバコは身体を蝕む」「百害あって一利なし」――これらの警告は喫煙者には<耳にタコ>、すでに言い尽くされたことかもしれない。

 ところが、リスクが大きく世界的に主要な死因でありながら、いまひとつ認知されているとは言えないのが「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」だ。

 COPDとは、有害物質の吸入によって肺に慢性的に炎症が起き、空気の流れが制限される結果、呼吸困難などの症状がみられる病気。

 COPDによる死亡数は、平成25年で1万6443人(厚生労働省「人口動態統計の概況」)。死因別死亡数は第9位で、日本人全体の死亡総数の1.3%を占める。

 その最大の原因が喫煙だ。喫煙者の15〜20%がCOPDになるといわれ、患者のおよそ90%は喫煙歴がある。日本では40歳以上人の9%近くがCOPD患者と推定されており、しかもその多くが医療機関での治療を受けていないという。

 息苦しさなどの症状に気付いたときには、かなり進行している。一度COPDとなれば、肺の機能は元通りにならない。身近でありながら怖い病なのだ。

果物を1個増やすとリスクが8%低下

 だが先月(2月)22日、喫煙者にとって光明の差す研究結果が呼吸器疾患の専門誌『Thorax』(オンライン版)に掲載された。

 果物や野菜をたくさん食べる人は、過去〜現在に喫煙していてもCOPDにならない可能性が高いというものだ。

 今回の研究は、ワルシャワ生命科学大学(ポーランド)が平均約13年間にわたり、45〜79歳のスウェーデン人男性4万4000人を追跡調査したもの。

 対象者たちは、食生活や喫煙、その他の行動に関するアンケートに回答。約3分の2の人は喫煙経験があり、4分の1はその時点でもタバコを吸っていた。「喫煙したことがない」と答えたのは全体の約4割だった。そして、追跡期間中に1900人を超える対象者がCOPDを新たに発症した。

 これらのデータを解析した結果、喫煙歴にかかわらず、特定の果物や野菜を1日5皿以上食べていた人は、2皿のみの人に比べてCOPDの発症リスクが35%も低かった。

 また、食べる量が1皿増えるごとにCOPDを発症するリスクが低下。元喫煙者では4%、現喫煙者では8%低くなった。

 なお<特定の>果物や野菜とはリンゴ、ナシ、緑の葉物野菜などで、すべての果物や野菜に予防効果があるわけではない。バナナ、ベリー類、柑橘類、トマト、タマネギ、ニンニク、エンドウマメなどには、リスクを低減する効果は見られなかったという。

 ここでいう「1皿」とは、英語でいう「1サービング」。目安として、葉物野菜なら1サービング=1カップ強、果物なら中1個だ。
煙草がまずくて禁煙できるオマケも?

 この研究を行ったワルシャワ生命科学大学のJoanna Kaluza氏は、「リンゴなどの果物や野菜に含まれる抗酸化力の強いポリフェノールが、COPDの引き金となる組織のストレスや炎症を軽くする可能性がある」と推論。

 食事でCOPDを予防できるとまではいえないが、「肺の健康に食生活が潜在的に影響していることを考えて、特にタバコをやめられない人は果物や野菜を適切に取るべきだ」と主張している。

 ところで、タバコと果物の関係について、過去に興味深い調査研究がある。

 米バッファロー大学の研究チームが1000人の喫煙者を対象に調査したところ、野菜や果物をよく食べる人は、普通の人に通常に比べて禁煙の成功率が3倍になったという。この結果は2012年に公開された。

 ただし、その理由は判明していない。ひとつの推論として、野菜や果物に豊富な食物繊維による満腹感が、タバコを吸いたいという欲求を抑えるのかもしれないという。

 もうひとつは、野菜や果物がタバコの味に影響する説だ。肉、カフェイン飲料、アルコールはタバコをよりおいしく感じさせることで知られている一方、<果物や野菜を食べた後はタバコがマズイ>というのはよくいわれている。

 つまり、喫煙者は「食後の一服前に1個のリンゴ」をプラスすることで、COPDに罹るリスクを下げ、うまくすれば減煙や禁煙につながるかもしれない。一石二鳥とはこのことだ。

 ピコ太郎の『PPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen)』ならぬ<タバコ+アップル=NO-COPD>。どうしてもタバコがやめられない人には、今日からでも取り入れてほしい食習慣といえる。
(文=編集部)