ミランで出番なしが続いている本田だが、この3月シリーズでも日本代表に選出された。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 決断は先送りされた――。3月16日に発表されたロシア・ワールドカップ・アジア最終予選のUAE戦(3月23日)とタイ戦(3月28日)に臨む招集メンバー25人の中に、本田圭佑が食い込んだのだ。
 
【日本代表PHOTO】UAE戦、タイ戦に向けたメンバー25人
 
 2015年3月に招聘されたヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、アルベルト・ザッケローニやハビエル・アギーレという前任者たちと同じく、本田に絶大な信頼を寄せてきた。これまで戦った23試合では、吉田麻也、森重真人、長谷部誠、西川周作に次ぐ1233分間(17試合)でピッチに立ち、チーム最多の9ゴールを記録。声が掛からなかったのは、実質Bチームだった昨年8月の東アジアカップだけだ。
 
 それでも今回は、さすがに落選との見方が多かった。その最大の理由が、所属クラブでの苦境だ。ミラン入団4年目を迎えた今シーズンは、若手のスソに右ウイングのレギュラーの座を奪われ、開幕からベンチ暮らしが続いた。
 
 それでもハリルホジッチ監督は実績と経験を重視し、9月、10月、11月と3回連続で本田を招集。9月6日のUAE戦から11月11日のオマーン戦まで5試合連続でスタメン起用し、11月15日のサウジアラビア戦でも後半からピッチに送り込んだ。
 
 その一方で同時期には、「本来なら(クラブで出ていない選手は)外さなければならない。所属クラブで厳しい状況に置かれている選手たちには、先発を取れるように努力をしなさい、それが難しいならレギュラーになれるクラブに移籍しなさい、と何度も伝えている」といったニュアンスの発言を繰り返し、本田を含めてクラブで出番の少ない海外組に苦言を呈していた。1月には欧州の移籍市場が開くため、それを見据えた発言でもあっただろう。
 
 しかし、同じく出番なしの状況が続いていた清武弘嗣がセビージャからセレッソ大阪に電撃復帰する一方、本田は移籍の噂がいくつも浮上しながらもミラン残留を決断。2月下旬にはMLSのシアトル・サウンダーズへの移籍が急浮上したが、こちらも結局は即決定には至らなかった。
 それでもレスターの岡崎慎司やサウサンプトンの吉田麻也などのように、シーズン後半戦に入って出番が増えていれば良かったが、本田はミランでさらに窮地に追い込まれる。2017年に入って以降の出番は1月25日のコッパ・イタリア準々決勝(ユベントス戦)のアディショナルタイムのみで、股関節痛でベンチ外となった3月10日のユベントス戦を含めて目下、公式戦21試合連続出番という状態なのだ。
 
 さらに、現地時間3月15日には同日のチーム練習をインフルエンザで休んだことがミランから発表されていた。
 
 開幕から7か月から経過した段階で95分間しかプレータイムがないため試合勘に欠けるのは明らかで、怪我とインフルエンザでコンディションも整っていない……。さすがにハリルホジッチ監督も今回は招集を諦めるかと思われたが、同じくクラブで苦しい立場にいるインテルの長友佑都、アウクスブルクの宇佐美貴史らとともに、まさかの選出となった。指揮官は会見でその理由をこう明かしている。
 
「本田と宇佐美については疑問があるだろう。しかし、(所属クラブで)試合に出ていなくても、いまの代表は本田を必要としている。これまで20試合を戦ってきたが彼の存在は常に我々とともにあったし、チームのトップスコアラーでもある。もちろん、ミランでより多くの試合に出てほしいというのが私の願いだが、今のところ激しいポジション争いの中で出番を得られずにいる」
 
「しかし、彼の代表でプレーするという意欲は常に高い。(ミラノまで見に行ったが)いつもプラスアルファのトレーニングをしているということも分かっている。この代表は彼の存在を必要としている。彼が出るのか、何分出るのかは別の問題。しかし、彼の存在は我々にとって重要だ」
 
 ワールドカップ予選というプレッシャ―の大きい重要な試合では、経験豊富でメンタルの強い選手が必要なのは理解できる。しかし、今の本田が本当にピッチでチームに貢献できるのか、まさに不透明だ。
 
 その意味では、大いに疑問が否めない本田選出と言える。
 

 今回選出された日本代表メンバー25名は以下のとおり。

GK
西川周作(浦和レッズ)
川島永嗣(メス/フランス)
林彰洋(FC東京)
 
DF
酒井宏樹(マルセイユ/フランス)
酒井高徳(ハンブルク/ドイツ)
長友佑都(インテル/イタリア)
槙野智章(浦和レッズ)
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
森重真人(FC東京)
昌子源(鹿島アントラーズ)
植田直通(鹿島アントラーズ)
 
MF
長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)
山口 蛍(セレッソ大阪)
今野泰幸(ガンバ大阪)
郄萩洋次郎(FC東京)
倉田秋(ガンバ大阪)
香川真司(ドルトムント/ドイツ)
清武弘嗣(セレッソ大阪)
 
FW
本田圭佑(ミラン/イタリア)
浅野拓磨(シュツットガルト/ドイツ)
原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)
宇佐美貴史(アウクスブルク/ドイツ)
大迫勇也(ケルン/ドイツ)
岡崎慎司(レスター/イングランド)
久保裕也(ヘント/ベルギー)
 
※順番は発表順

文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)