MIYAVI

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 いよいよ公開を間近に控えた映画『無限の住人』(4月29日公開)。“スペクタクル時代劇”とも言うべき壮大なスケールと、多彩な武器を操る登場人物たちの戦闘描写から、一時は実写映画化不可能とまで言われた沙村広明の同名コミックを、主演=木村拓哉、監督=三池崇史で映画化した本作。その何よりの注目ポイントは、不死身の肉体を持った主人公・万次を、木村拓哉がどう演じるかにあるだろう。山田洋次監督の『武士の一分』(2006年)以来、約10年ぶりとなる時代劇の主演。しかも、それを監督するのは、迫力あるアクションや生々しい描写を得意とする、あの三池崇史監督である。これは期待しないほうがおかしい。

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 その他にも、主人公・万次と運命的な出会いを果たす少女・凛を演じる杉咲花、凛の父親を殺した宿敵・天津影久を演じる福士蒼汰をはじめ、市原隼人、戸田恵梨香、市川海老蔵、満島真之介、田中泯など、豪華キャストがこぞって出演している『無限の住人』。『十三人の刺客』(2010年)、『一命』(2011年)など、かねてより時代劇には定評のある三池監督だが、個性豊かなキャラクターが続々と登場する展開や、要所要所で展開されるアクション、そして万次がたったひとりで300人の敵と対峙するクライマックスなど、そのテイストはむしろ、同じく三池監督の『クローズZERO』(2007年)を彷彿とさせるものとなりそうだ。

 木村拓哉と三池崇史……どこか“孤高”あるいは“サムライ”といった形容が相応しいふたりの男に加えてもうひとり、ここでその名を挙げておきたいのは、本作の主題歌を担当するMIYAVIだ。独自の“スラップ奏法”で、アグレッシブにギターを奏でる“サムライ・ギタリスト”として、国内外で高い人気を誇っているMIYAVI。木村拓哉を主演に起用したのと同じく、『無限の住人』の原作を読み込んだ三池監督が、ほとんど“直感的に”オファーしたという彼の存在は、間違いなくこの映画に、さらなる熱量と男気を注ぎ込んでいる。

 現在はロサンゼルスに拠点を置き、音楽制作はもちろん、俳優としてもアンジェリーナ・ジョリー監督の『不屈の男 アンブロークン』(2014年)、さらには現在話題沸騰中の映画『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年3月25日公開)に出演するなど、国際的な活動を繰り広げているMIYAVI。その彼が今回、映画『無限の住人』のために書き下ろした主題歌「Live to Die Another Day -存在証明-」は、ヘヴィなビートと咆哮するギターのサウンドが鮮烈な、実にMIYAVIらしいハードな一曲となっている。

 「自分は映画から感じ取ったものを、そのまま音楽に変換して表現するだけ」。そう語るMIYAVIは、この『無限の住人』という映画から、何を感じ取ったのだろうか。それはズバリ、“生に対する情熱”と“愛しい人を守ろうとする思い”の2点であるという。不死身であるがゆえに“生きる意味”を見失っていた万次が、凛と出会うことによって再び“生きる意味”を取り戻し、彼女を守るために新たな戦いのなかへと身を投じていく物語。それをMIYAVIは、わずか4分弱という一曲のなかで表現しようとしているのだ。

 「ポップソングを作る気はなかった」という彼が生み出したこの曲の展開は、思いのほかドラマチックなものとなっている。刻むビートは重いものの、全体を包み込むようなシンセの音に乗せて奏でられるMIYAVIのギターソロは、どこまでも壮大かつ優美。そして終盤、ビートもギターも消えたなか、二胡のようなオリエンタルな響きを持った弦の音が奏でる流麗なソロから、再び湧き上がってくるような盛り上がりをみせる激しいギターサウンド。それは、不死身の肉体を持つ者だけが感じることのできる悠久の時の流れと“斬り合い”の刹那を、一連の流れのなかでドラマチックに描き出していくのだった。

 さらに、その副題としてつけられた“存在証明”という言葉にも、MIYAVIならではの熱い思いが込められているという。それは、再び生きる意味を見出した万次の思いを代弁するのみならず、本作に登場するすべての人々の“生き様”を言い表しているのだ。立場や考え方は違えども、自らの“存在証明”を賭けて対峙するものたちへのリスペクト。勧善懲悪の世界ではなく、善も悪も関係ない、“本気で生きる”人々へのエールが、そこには込められているのだ。そして、音楽こそが、自らの“存在証明”であるというMIYAVI自身のメッセージも。

 「“ぶった斬り”エンターテインメント」と銘打った本作に込められたスタッフ、及び出演者たちの“熱量”を代弁すると同時に、それらすべてを優しく包み込むような懐の広さを持った主題歌「Live to Die Another Day -存在証明-」。壮大なクライマックスを終えたあとに流れ出すこの曲を聴きながら、観客たちは果たして何を思うのだろうか。そして、この映画の最後が意味するものとは何なのか。役者・木村拓哉にとっても、ひとつの転機となるであろう映画『無限の住人』。そのフィナーレを飾るに相応しい、MIYAVI入魂の一曲だ。(麦倉正樹)