人の目(2007年4月25日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

写真拡大

【AFP=時事】米フロリダ(Florida)州で、脂肪細胞由来の幹細胞を目に注入する治験を受けた女性患者3人が失明していたことが15日、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表された報告から明らかになった。この治験は効果がまだ立証されていないものだったという。

 失明したのは進行性の眼疾患「黄斑変性症」を患っていた72〜88歳の女性3人で、2015年にフロリダ州の医療機関で「乾燥型黄斑変性症における細胞の硝子(しょうし)体内注入の安全性と効果を評価する調査」と題した治験を受けていた。

 この治験は米国立衛生研究所(NIH)が運営する治験や臨床試験に関する情報提供サイト「クリニカルトライアルズ・ドット・ゴブ(ClinicalTrials.gov)」に掲載されていたため、患者らは正規の治験だと考えていた。

 しかし、3人は治験を受けた直後から網膜剥離や出血などの合併症に悩み、結果的に視力を完全に失ったという。

 論文を共著したマイアミ大学(University of Miami)のトーマス・アルビニ(Thomas Albini)准教授は、合併症が起きた原因として、幹細胞の混合過程で汚染が起きたか、目に注入された後で幹細胞が変異した可能性が考えられると指摘している。

 専門家らによれば、脂肪由来幹細胞が黄斑変性症に関わる網膜細胞に成長するかどうかを調べた研究はまだほとんどなく、問題の治験で使用された手法が視力回復を助けるという科学的根拠はないという。
【翻訳編集】AFPBB News