北京市内のナイキショップ、2007年12月撮影(Feng Li/Getty Images)

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おもに中国国内の外資系企業を狙い批判キャンペーンを展開する中国国営テレビ(CCTV)による毎年恒例の消費者保護番組は、今回、マーケティング方法に問題があるとして米スポーツ・メーカのナイキと、放射能の影響を結び付けて日本の食品に矛先が向けられた。

 「世界消費者デー」の3月15日に合わせて放送されるCCTVの消費者権利の保護を訴える番組「3・15晩会」では、ナイキが、広告されている同ブランドシューズ「Zoom Air」に専用クッションのない靴を販売していたと指摘。また、「MUJI」のブランドで食品や日用品、衣類を販売する日本の良品計画は、食品の一部にラベル表示の誤記があり、中国が放射線の影響があるとして関東や東北など輸入禁止対象にしている地域で生産されたのものが含まれていたと伝えた。

 番組の指摘について、ナイキも良品計画も、正式なコメントをまだ発表していない。

 番組では、日本の食品について、放射能の影響を懸念して禁輸措置対象地域からのものであるにもかかわらず、日本の別の地域からのものであると偽った、いわゆる産地偽造による問題を指摘。しかしネットでは、無印良品などメーカへの罵詈雑言は少なく、「(日本輸入品を取り扱う)中国人が中国人をだましている」と言った、嘘をつくことををためらわない中国国内のモラル問題を訴える声が聞かれた。

 世界消費者権利デーに合わせたCCTVの番組は毎年、主に外資系企業をターゲットに批判を展開し、本土での信用を下落させることを狙う。過去にも、番組では2013年にアップル、2012年にマクドナルド、2015年には日産、フォルクスワーゲンなど、世界最大級であり中国での市場占有率もライバル視される外国企業が標的となってきた。

 14億人の消費者を抱える中国でのイメージ失墜を恐れてか、外資系企業は早急な対応を迫られる。アップルのTim Cookは2013年に謝罪し、McDonald'sは2012年に一部の労働者を再指導を発表した。

 消費者番組が放送されたのち、中国の電子商取引大手アリババは、中国の消費者心理の揺れに素早く反応した。同社は「2011年以来、日本の放射能の影響を調べ、関連商品を取り扱っていない」と宣伝。「疑わしい製品への2万2000件のリンクを削除し、2016年には4108件の事業に対して適切な措置を取った」とコメントした。

イメージダウンを図るプロパガンダ

 中国宣伝部が統括する官製メディアは、海外からの輸入品のイメージダウンを図り、国産品の需要を高め、問題から目を背けさせようとプロパガンダを報じている。しかし、中国製品に関して安全性と信頼度が低いと認識するのは、日本など海外のみならず、中国国内の人々も同じだ。代表的な例は、2000年代初頭に発覚したメラミン入り粉ミルクの事件。多くの乳幼児が腎臓結石などで健康を害した。

 中国産の輸出品では、2006年、パナマで中国製風邪シロップを服用して数百人が死亡する事故が発生。2014年、日本へも使用期限切れの鶏肉が混入した食肉が日本に輸出されていたことが発覚。米食品企業の中国現地法人・上海福喜食品の工場で行われた潜入調査では、床に落ちたチキンナゲットや変色した鶏肉を使うなど、不衛生な生産現場がスクープされた。

 中国からの輸出品の問題は、輸入先で調べることができるが、中国国内で出回る劣悪製品の報道は多くはないため、問題把握が難しい。生産現場の事情を知る「国産」を信用しない中国の富裕層や共産党幹部は、外国産から製品を選別する。日本の有機栽培食品を購入しており、一般市民の中でも、オーストラリア産のミネラルウォーター、ニュージーランド産の空気缶を購入している。

(翻訳編集・佐渡 道世)