昨年2016年は、『君の名は。』や『シン・ゴジラ』などの映画が大ヒットしました。いつもはDVD派だけど、久々に映画館に足を運んだ、なんて人も多かったのではないでしょうか。

映画によって日本の芸術が見直された1年だったと思いますが、同じ芸術でも今回紹介したいのは、ミュージカルです。総合芸術として古くから親しまれてきているものの、実際に劇場に足を運んで観るのは少し敷居が高いイメージがあるかもしれません。でも、チケットを購入して劇場に行けば観られるという点で、実は映画とハードルはそんなに変わらないのです。

日本を代表するミュージカルの舞台といえば、『宝塚歌劇』。天海祐希さんや黒木瞳さんをはじめ、テレビで活躍している宝塚出身の女優も多く、その存在は誰もが知るところでしょう。「宝塚といえば、きらびやかな衣装にラブロマンス...女性向けのエンターテインメントでしょ?」と思った男性の皆さん。いま、宝塚を観に行くファンには、男性も増えているのだそうです。

男性客が劇場に足を運びやすくなった背景には、宝塚の多彩な演目にあります。アニメやゲーム、ハリウッド映画のアレンジまでが勢ぞろい。「えっ、こんなものまで宝塚で演じられちゃうの?」とビックリしてしまうかもしれません。今回はそんな最新の『宝塚歌劇』の基礎知識をお伝えします。

漫画、ゲーム、ハリウッド映画...多彩なジャンルへの挑戦


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近年演目の幅を広げている宝塚の舞台。まず、紹介したいのが、漫画原作の作品です。漫画を原作とする演目は『ベルサイユのばら』が有名ですが、近年は少女漫画にとどまらず、さまざまな作品を原作としています。

たとえば、映画化もされた人気コミック『るろうに剣心』。2016年に宝塚歌劇団の雪組によって舞台化され、注目を集めました。宝塚ファン以外の人からの反響も大きかったといいます。

『るろうに剣心』といえば、アニメ版の主人公の声を元宝塚の涼風真世さんが演じるなど、もともと宝塚と縁のある作品。今回、主役の緋村剣心を演じた雪組の早霧せいなさんは、「毎回命のやり取りをするという思いで舞台に挑んでいて、さらに殺陣での真剣勝負のシーンもあり、充実していた半面、体力・気力ともに大変な公演でした」と振り返ります。

宝塚版では、ストーリーに戊辰戦争や江戸城の開城などの史実を織り交ぜたうえで、わかりやすく描かれています。さらに、剣心に立ちはだかる敵として、元新撰組の美剣士・加納惣三郎というオリジナルキャラクターも登場しました。


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原作/モンキー・パンチ

青年漫画からの舞台化は、『ルパン三世』があります。宝塚と言えば、二枚目の男役さんがビシッとカッコよく演じるイメージがありますが、ルパンはお調子者で女好きで、どちらかというと三枚目。演じた早霧さんは「最初、私にルパンが合うのか? って謎だったんですけど、稽古を始めて、あ、近いかもって納得しました(笑)」とのこと。「"ルパンらしさ"を出すため、三枚目を演じることには何の躊躇もありませんでした」と語っています。

漫画原作は、他にも『ブラックジャック』や『火の鳥』、源氏物語を漫画にした『あさきゆめみし』、テレビドラマ化で人気を博した『JIN-仁-』などの作品もあります。


次に紹介したいのが、ゲームが原作の作品です。人気ゲームソフト『逆転裁判』は、2009年に上演された『逆転裁判‐蘇る真実‐』が好評を博し、『逆転裁判2‐蘇る真実、再び...‐』、『逆転裁判3 検事マイルズ・エッジワース』とシリーズ化。劇場には熱狂的なゲームファンも訪れ、客層が広がりました。

漫画やゲームの他にも、『オーシャンズ11』などの海外ハリウッド映画のアレンジ作品、SF小説『銀河英雄伝説』、三島由紀夫や藤沢周平などの日本文学を題材にした作品も充実しています。また、『眠らない男・ナポレオン‐愛と栄光の涯(はて)に‐』のように、歴史上の人物を描いた演目も男性に人気です。

宝塚歌劇全体での年間観客動員数は270万人を超え、年々右肩上がり。原作が人気だと舞台化は難しいものですが、宝塚らしさと原作の良さの両方を生かすコラボレーションが続々と登場し、新たなファンを獲得しているのです。


純粋に歌唱やダンスを楽しめるショータイム


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実際に舞台を観る前に、知っておきたい基礎知識をお伝えしておきましょう。

宝塚の上演時間はおよそ3時間。30分の休憩を挟んで前半と後半に分けられており、前半が「芝居」、後半が「ショー」の2本立てで構成されているのが基本です。「芝居」は男役スターが凛としたしぐさで男性役を演じ、娘役スターはきらびやかな衣装で舞台を引き立てます。後半の「ショー」では、劇団員が華やかな衣装でコーラスやラインダンスを繰り広げます。


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何といっても「これぞ宝塚!」と見応え抜群なのが、出演者全員がパレードやショーを繰り広げるフィナーレです。フィナーレで出演者たちが降りてくる大階段は26段あり、全体の高さは約4メートル。しかし階段1段の幅(足の踏み場)は、わずか23センチなんです。このスペースで踊り歌うのはまさに神業。フィナーレで出演者が身にまとう絢爛豪華な衣装などは、初めて観る人の目にも楽しいものでしょう。


劇場の場所は? チケットは? ドレスコードは?


170316_Takarazuka_floor.jpg宝塚大劇場の客席は1階と2階に分かれており、1階の最前線がSS席。あとは舞台の距離に応じてS/A/B席となっています。


宝塚の本拠地は、兵庫県宝塚市にある宝塚大劇場。「花組」「月組」「雪組」「星組」「宙組」の5つの組が、交代で様々な演目を上演しています。水曜日の休演日や公演入替日を除いて、1年を通じて毎日公演があります。東京・日比谷にある東京宝塚劇場も、宝塚大劇場と同じ規模の舞台を持ち、本拠地での千秋楽のあと、2週間後から同じ演目を上演します。

気になるチケットの金額は座席によって異なり、最前列のSS席は大人ひとり12000円。以降、S席8300円(東京宝塚劇場は8800円)、A席5500円、B席3500円。B席はリーズナブルですね。宝塚歌劇オンラインチケットや、各種プレイガイドで購入できます。

実はねらい目なのが2階席。上から舞台全体を見下ろすことができ、舞台装置や衣装、小道具など全体の色彩感、出演者のフォーメーションが立体的に楽しめるんです。

ちなみに、ドレスコードは特にありません。なんとなく「観劇は正装して行くべきなのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、Tシャツ&ジーンズの人もいるので、服装選びは映画を観に行く感覚でOK。

また、オペラグラスがあると、より舞台を楽しめるでしょう。スターの表情や、指先や足元などしぐさの繊細さ、衣装や髪型、大道具や小道具のディテールに注目してください。レンタルのオペラグラスも用意されています。



ライブのエンタテイメントは、デジタルメディアとはまた違う魅力をもっています。足を踏み入れてみると、きっとこれまでにない刺激を得られるはず。新たなカルチャーを体験するため、劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。


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(宝塚大劇場にて2017年6月2日〜7月10日まで公演)

(文:尾越まり恵)