3分で解説!クラウドファンディングウォッチャーに必要な「電波法」の要点

写真拡大 (全4枚)

source:bee / PIXTA(ピクスタ)

海外のクラウドファンディングサイトに登場した製品に対して出資を行ない、リターンとしてその製品を手に入れる。このシステムを一番最初に考えついた人間は、紛れもなく天才だ。

だがそれは、超国家的な発想でもある。もちろんテクノロジーの世界的普及は素晴らしいことだが、すべての製品が人類社会にプラス影響を与えるものであるというわけではない。この記事では無線機器を取り上げるが、日本に限らずどの国でも電波の取り扱いに関する法律が制定されている。

日本の場合は「電波法」がそれに該当するが、この法律がある限り海外から無線機器を無造作に輸入し、使用することはできない。クラウドファンディングでの出資は、そうしたことを踏まえて行う必要がある。

「製品を手に入れよう」とは言えない理由

去年、DeNAのキュレーションメディア騒動というものがあった。

これは我々ライターの世界に大きな衝撃を与えた。この騒動では「間違った火傷の治し方」といった、医療関連の記事の語弊や改竄などが問題視されたが、言い換えれば「読者に損害を与える可能性のある情報を絶賛して書いてはいけない」ということが確認されたのである。

それはテクノロジーメディアも例外ではない。たとえば、今あるスマートフォンを凌駕するような機能を持つモバイル機器がクラウドファンディングに登場したとする。それは間違いなく、日本では流行するだろう。そして開発者はカリフォルニアのスタートアップだ。アメリカのメディアは、一様にその製品を大絶賛している。

ここでもし、その空気につられて「この製品はすごい! 日本のユーザーもぜひキャンペーンに出資して製品を手に入れよう」と記事に書くライターがいたら、それが原因で問題になってしまうかもしれない。なぜなら、通信機能のあるモバイル機器を日本国内で使用するには総務省発行の「技術基準適合証明等のマーク」、いわゆる技適マークが欠かせないからだ。

規制の根拠

ここで、電波法を紐解いてみよう。

電波法第38条は全部で48項あるが、その冒頭はこうある。

「無線設備(放送の受信のみを目的とするものを除く)は、この章に定めるものの外、総務省令で定める技術基準に適合するものでなければならない」

これはすなわち、ラジオのような受信専用の機器は別として、ユーザーから情報を発信できる装置は総務省からの規制がかかっているということだ。

だから、趣味で鉱石ラジオを作るのは構わないが、海外から通信機器を購入して使うことは難しい。その理由は、電波の安全なシェアのためだ。

当然だが、すべての通信機器にはちゃんと周波数が割り当てられている。素人も含めて誰でもFM周波数を利用するようになれば、社会は大混乱に陥るだろう。例外として、微弱な電波で発信するミニFMというものがある。本場所開催中の両国国技館で放送されている『どすこいFM』などがそれだ。

ただしどすこいFMは、国技館を離れたら電波が届かないようになっている。もしそれ以上の出力を求めるとしたら、日本相撲協会はラジオ放送局解説の許可を総務省に求めなければならない。

技適マークのない端末は…

総務省は公共電波の乱用を防止するため、すべての無線機器にチェックを入れている。

そこで出てくるのが技適マークである。iPhoneでもAndroid機でも、日本の市場にあるものは必ずこのマークが貼ってあるはずだ。

だが現実問題、日本を訪れた外国人の所有する機器には技適マークが貼られていない可能性が高い。こうしたことも踏まえ、総務省は去年5月に法規則を一部改正した。

「日本の技術基準に相当する技術基準(国際標準)に適合するもの」という文言を入れ、アメリカのFCCマークやEUのCEマークをその基準として認めたのだ。

だが、条件がある。Wi-Fi端末の場合は、

「日本の技術基準に相当する技術基準(国際標準)に適合するものであり、かつ、2.4GHz帯、5.2GHz帯、5.3GHz帯及び5.6GHz帯の周波数の電波を使用する小電力データ通信システムの無線局(Wi-Fi端末及びBluetooth端末)が対象となります。なお、訪日観光客等の入国の日から90日以内に限って利用可能です。(総務省公式サイトより引用)」

ということであり、すなわち無期限に利用できないということだ。ちなみに、無線LANルーターにはそうした条件にかかわらず技適マークがないと使用できない。

このような規制があるからこそ、海外のクラウドファンディングで紹介されている製品を「絶対に手に入れよう!」とは書けないのである。たまに「この製品が日本の市場に登場することを期待しよう」と書くかもしれないが、それは開発者が日本で技適マークを取得することを見越してのことだ。そうしなければ、我が国での市場投入はまず不可能である。

以上、クラウドファンディングと電波法についての絡みを説明したが、『Indiegogo』も『Kickstarter』も基本的には「自己責任」の世界だ。ユーザーには一定以上の予備知識が求められ、それに従い行動した結果も自身の采配によるもの。

そうしたことを踏まえた上で、今後もクラウドファンディングの世界を観察していこう。

【参考】

※ 海外から持ち込まれる携帯電話端末・BWA端末、Wi-Fi端末等の利用 - 総務省