情報技術の分野で著しい発展が見込まれるAI(人工知能)。米グーグルの子会社であるディープマインド社が開発した囲碁プログラム「アルファ碁」が2016年に人間のプロ囲碁棋士に勝ったことでAIの急速な進化を感じた人も多いだろう。インターネットの普及によってAIが膨大な情報(ビッグデータ)を教材として取り込むことが可能になり、急速に進化している。米国で最も読まれているAIの教科書の著者でもあるグーグルの研究本部長、ピーター・ノーヴィグ氏にグーグルの研究部門の内容と、AIの未来を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 松野友美)

──グーグルの研究部門は、どういう体制でどういった研究をしているのですか?

 グーグルは様々な事業を展開しており、各分野に技術開発の担当者がいます。一般ユーザー向けの技術もあれば、広告のための技術開発も含まれます。企業規模は非常に大きく成長しましたが、私たちがやることはスタートアップ企業と同じで、社員一人一人が新しい製品を開発し、既存の製品をより良くしていくことに使命を懸けていることは変わりありません。

 会社によっては純粋な研究を行うリサーチ部門と、それを引き継いで製品化を行う開発部門が分かれている組織もあると思います。グーグルはそういう分け方をしていません。リサーチから製品化まで全てが一本化されています。

 例えば、機械翻訳や音声認識はもともと研究部門のプロジェクトとしてスタートしました。実際にユーザーへ提供できる段階になった時、プロジェクトチーム内の技術者の数を増やして実際の製品化まで持っていったのですが、当初の研究者はプロトタイプから製品化まで一貫して担当していました。

──研究の初期は何らかの目的があり、研究するうちに当初と異なる製品に派生することもあるのですか?

 その通りで、非常に柔軟性あるアプローチをとっています。研究者の仕事には未来予測も織り交ぜられています。年初に自分の目的を掲げて、それに向けて研究活動を進めていきますが、途中で「こういうことをやりたい」というひらめきがあった場合には、当初考えていたことをやめて、違う方向に進めていくことがよくあります。

 グーグルの組織は、オープンであることがとても重要だと思っています。グーグル設立当初は毎週金曜日に全社員が出席する会議があり、その場で営業担当の副社長が「この案件は受注したが、こちらは失注してしまった。失注した理由は、お客様が必要としているものを我々が提供できなかったからだ」という説明も行っていました。

 会議を受けて、翌週の月曜にエンジニアが副社長のところに行き、「お客様が必要だと言っていたけれど提供できなかったものを作りました。必要だと思わなかったので我々は製品化していなかったのだけど、作っちゃったのでこれからは提供できますよ」というやり取りをよく行っていました。

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