玄米など全粒穀物食は、肥満を防止して慢性疾患のリスクを減らすといわれている。

 米国では、国の「食事ガイドライン」で全粒穀物製品を少なくとも毎日3オンス(85グラム相当)食べるよう推奨しており、全粒穀物=健康の図式は定着したようだ。

 ただし、全粒穀物食が「なぜ」健康に良いのかは明確ではない。精製過程で廃棄されるミネラル分を余さず摂取できる点なのか、食物繊維がカロリーの吸収抑制に働くことがポイントなのか。米タフツ大学の研究者らがこの「なぜ」に注目し、全粒穀物と健康について検討している。

 比較試験は40〜65歳の81人──男性49人、閉経後の女性32人を対象に行われた。

 対象者を2群に分け、最初の2週間は同じ内容の食事を提供。その後、片方には「全粒穀物食」を、もう一方に「非全粒穀物食」を6週間食べてもらった。食事内容の違いは、全粒穀物製品の有無と食物繊維の摂取量で、総摂取カロリー量やミネラルの摂取量などはほぼ同じだった。

 対象者は、比較試験の始まりと終了時に体重やエネルギー代謝率、血糖値、および吸収しなかったエネルギー量(ふん便中の排せつ量で測定)などを計測している。身体活動量に関しては、普段通りに続けてもらった。

 その結果、推奨される量の全粒穀物を食べた群では、余分なカロリーの摂取が抑制された一方、食事誘発性熱産生を含む安静時のエネルギー代謝が促進されたことが判明。つまり、消化時の熱産生で対照群より1日あたり「100キロカロリー」も多くエネルギーを消費していたのである。空腹感や食事の満足度については、両群で差は認められなかった。

 ちなみに、100キロカロリーは30分のウオーキングで消費されるカロリー量に匹敵する。ダイエットのために我慢していた「缶コーヒー」を1本飲んでも許される消費量なのだ。

 厚生労働省は週2回以上1回30分以上の運動を推奨している。運動が苦手なら、週に2〜3日、白いご飯を「玄米ご飯」か「全粒パン」に置き換えるのも手である。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)