知らなかった… 子宮筋腫・子宮腺筋症について

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執筆:青井 梨花(助産師・看護師)
監修:坂本 忍(医師・公認スポーツドクター・日本オリンピック委員会強化スタッフ)

月経中、下腹部痛などの不快な症状に悩んでいませんか?

症状の陰に、子宮筋腫や子宮腺筋症といった病気が潜んでいることがあります。

これらの病気のサインを見逃さずに早めに対処することは、将来のライフプランやキャリアプラン実現にもつながります。

そこで今回は、子宮筋腫や子宮腺筋症の特徴や症状を解説します。

そのツライ月経痛、もしかしたら病気のサインかも?

あなたは月経の時、下腹部痛、腰痛など、ツライ月経痛の症状はありますか?そのツライ症状を毎月ガマンしていませんか?

学校や仕事、家事をお休みしなくてはならないなど、日常生活に支障をきたしていたり、また、鎮痛剤を飲まないといられないほどではありませんか?

このような月経中におこる強い下腹部痛などの症状がある場合を「月経困難症」といいます。

月経困難症には原因となる病気がとくにない「機能性月経困難症」と、原因となる病気がある「器質性月経困難症」があります。

器質性月経困難症のおもな原因となる病気としては、子宮内膜症とならんで、子宮筋腫、子宮腺筋症があげられます。

子宮筋腫とは?

子宮壁の筋肉の中にできた、しこりやこぶのような形の良性の腫瘍です。


月経のある年代でみられる病気で、30歳以上の女性の20〜30%に筋腫があるという報告もあります。


筋腫ができる位置(粘膜下・筋層内・しょう膜下)や大きさ、個数によって、さまざまな症状がありますが、約半数は無症状で、検診などで偶然みつかることも少なくありません。

よくみられる症状としては、過多月経やそれにともなう貧血症状、下腹部痛などの月経困難症などがあります。

自覚症状がない場合や、筋腫が小さい場合、閉経に近い年齢で発見された場合などでは、経過をみていくだけの場合もあります。

しかし、症状の程度によって、日常生活に支障が出ている場合や、妊娠を希望していても不妊期間が長い場合などには、治療をおこなっていきます。

子宮腺筋症とは?

子宮内にあるべき子宮内膜組織が、なんらかの原因で、子宮壁の筋肉の中に潜り込むことで、筋肉の層の中で腫れたりしこりができたりする病気です。

女性のからだでは、月経周期にともない、女性ホルモンの影響によって、子宮内膜が厚くなったりはがれたりをくりかえしています。

子宮の内側の子宮内膜がはがれたときには、体の外へ排出されます。これが月経ですね。

子宮腺筋症のように、子宮の筋肉の中にできた子宮内膜も同じような変化をします。
 

ですが、子宮の筋肉の中だと、はがれた後に出口がないため体の外へ排出されず、剥離・出血・吸収をくり返し、病気がすすむにつれて子宮筋層が厚くなって、子宮全体が大きくなっていきます。

先にお伝えした、「子宮筋腫にも症状が似ていて、また子宮腺筋症と子宮筋腫の両方がみられる」という人も30〜40%ほどいるとの報告もあります。

かなり激しい月経痛がおもな自覚症状になります。

下腹部だけでなく、足の方にまでひびくような痛みだったり、腰痛、肛門痛として感じることもあります。

そのほか、月経量が多く(過多月経)貧血を招いたり、不妊の原因となることもあります。

子宮筋腫・子宮腺筋症、それぞれの治療法は?

子宮筋腫も子宮腺筋症も、医学的な原因は、まだはっきりとしていません。

ただ、どちらも女性ホルモンが影響していることはわかっていることから、おもな治療法としては、超低用量・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤)や、プロゲスチン製剤(IUS:子宮内黄体ホルモン放出システムなど)、GnRHアゴニスト製剤といった、ホルモン療法を中心とした薬物療法と、外科的療法(手術)などがあります。

どの治療法を選択するかは、症状はもちろん、年齢や妊娠の希望などふまえた上で決定していきます。

ですから、受診の際には自分の希望を整理して、医師に伝えて相談することが大切なプロセスとなります。

「月経痛はガマンするもの」ではない!

月経にともなって起こる、さまざまな不快な症状に対して「ガマンすれば何とかなる」「ガマンすることがあたり前」と思っている女性が多いようです。

ですが、このように、そのツライ症状が病気のサインである場合があることを、ぜひ心に留めておいてください。

とくに未婚女性にとって、婦人科を受診することはハードルが高いかもしれません。

しかし、もし気になる症状があれば、「あの時に受診しておけば・・・」と後悔sしないために、思い切って早めに受診することをおすすめします。


<執筆者プロフィール>
青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー
株式会社 とらうべ 社員。病院や地域の保健センターなど、さまざまな機関での勤務経験があるベテラン助産師。
現在は、育児やカラダの悩みを抱える女性たちの相談に応じている。プライベートでは一児の母。