ゴキブリ界でもオスは肩身が狭い

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ゴキブリのメスを多数で飼育すると「単為生殖」だけで3年以上にわたってコロニーを維持することができたとする研究結果を、北海道大学電子科学研究所学術研究員の岩粼正純博士や低温科学研究所の落合正則准教授、理学研究院の水波誠教授、電子科学研究所の西野浩史助教らの研究チームが、2017年3月13日に発表した。

研究結果は、動物学の専門誌「Zoological Letters」電子版に掲載されている。

生殖できないオスよりメス3匹

同大の報道発表によると、「単為生殖」とは、オスがいない環境でメスだけが自分に遺伝的に似た子どもを産む生殖のことで、節足動物や魚類、両生類、は虫類など動物界では広く見られる現象。ゴキブリも単為生殖能を持つことが古い文献で紹介されているが、そのメカニズムには不明点が多く、研究チームが検証に取り組んだ。

研究では、お互いが十分に接触できる小さめのプラスチック容器の中にワモンゴキブリのメス成虫を1 匹から複数匹入れ、餌や水を十分に与えたうえで、単為生殖によって卵鞘(複数の卵の入ったカプセル)がいつ形成されるのかを2か月以上調査している。

すると、メスを単独で飼育したときには単為生殖による卵鞘形成に時間がかかり、しかも個体間でばらつく傾向があったが、メスを 3 匹一緒に入れると卵鞘がより早く形成されることがわかったという。一方、交尾できないよう手術したオスと一緒にした場合は、メスと一緒にした場合よりも卵鞘形成が遅かった。

フェロモンの影響を検証するために、メスの出す性フェロモンをメス単独の容器に入れたが卵鞘形成は促進されず、他のメスとの接触やメスの出すフェロモン以外の化学物質を感じとることが重要だと推測されるという。

研究チームは、ゴキブリの防除にはメスの拡散を防ぐことが重要であり、現在主流のオスのみを誘引する性フェロモン剤トラップは有効とは言えず、メスも誘引できるフェロモンの特定が必要になるとコメントしている。