オリコンアルバムチャート1位の「チャンピオン」経験ももつローカルプロレスラー、ノリ・ダ・ファンキーシビレサス

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 愛知県名古屋市で営業している「ピピッと!あいち」は、県内の各地域から選りすぐられた野菜や果物、加工食品、伝統工芸品などが販売されているアンテナショップだ。

 ひときわ大きくとられたスペースに、ホウレンソウ、白菜、大根…様々な野菜が陳列されており、次々と客が買い求めていく。自信の現れか、生産者の顔イラストラベルが貼られている。ブロッコリーのラベルには「by のりくん」とある。

 ゆでて食べてみると、甘さと香りが口の中にあふれる。ありふれた言葉だが「自然本来の味」としか表現できない美味さだ。

 驚くことに、これらの野菜を作ったのはあるプロレスラーだ。副業をもつスポーツ選手は多い。驚くような話ではないかもしれない。では、これならどうだろう? これらの野菜を作ったのは、あるプロレスラーで、ある紅白歌合戦出場アーティストだ。

 ノリ・ダ・ファンキーシビレサス。前回の記事で紹介した、愛知県名古屋市のローカルプロレス団体「今池プロレス」のエース選手だ。彼は兼業レスラーだ。だが並の兼業ではない。ノリは、ヒップホップグループ「nobodyknows+」(ノーバディノウズ)のMCでもあるのだ。

◆2000年代のオリコンチャート常連グループ

 nobodyknows+は名古屋で結成し、2002年ソニーミュージックと契約。オリコンチャート最高3位の『ココロオドル』、『Hero’s Come Back!!』(アニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』主題歌)などヒットを飛ばした。

 紅白出場以外にも全国47都道府県ツアー、ライブホール・Zepp Nagoyaのこけら落としなど華々しく活動した。

しかし成功を収めてしまったがために、自身で活動をコントロールできなくなり制約も増えた。不自由さからイライラがつのり、メンバー間に不和が起き始める。そこでノリたちは契約を解消、名古屋を拠点とした活動に戻る。無事に仲も元に戻った。

 そして2010年1月、ノリに今池プロレスから場内実況ゲスト解説のオファーが届く。ノリは生まれも育ちも今池。今池プロレスの中心人物・マグナム今池(正体は今池商店街の老舗焼き鳥屋店主)はノリの中学の先輩。何よりノリはプロレスファン。断る理由はなかった。

 といっても、主催の今池商店街連合会の人たちは断られることを想定せず、ノリが出る前提で話が進んでいたのだが。

 今池プロレスの名物は、選手が次々と登場し生き残りをかけて闘う「時間差バトルロイヤル」。ノリの眼前でマグナムがピンチに陥った。それも同じ今池プロレスの仲間の裏切りに遭ってだ。「もうガマンできませんよ!」ノリは試合に乱入した。

◆こけら落としをした会場でプロレスデビュー

 ノリはロープを飛び越えリングイン。一度はマットに叩きつけられるが立ち上がり、敵レスラーにドロップキックを放った。しかもジャンプして両足で相手を蹴り抜いた後、体をヒネりうつ伏せにマットに落ちて受け身をとる、正調のドロップキックだ。ノリの助けで、マグナムは無事に棚ボタ優勝した。

 普通ならばこれでハッピーエンドだ。

 だが、これで終わらないのがローカルプロレスの面白いところだ。トントン拍子で話が進み、ノリのプロレスデビューが決まった。かといって無理強いされたわけではない。ノリは自分の好きなプロレスを知ってもらうには、実際にやっているところを人に見せるのが一番だと考えたのだ。

 ノリは今池プロレスをプロデュースする名古屋の団体・スポルティーバエンターテイメントの常設会場兼道場「スポルティーバアリーナ」でトレーニングを始める。そして2010年5月、スポルティーバ興行「愛プロレス博2010 キセキ」での時間差バトルロイヤルでデビューを果たす。