少し上の世代にとっては馴染み深い「Victor(ビクター)」ブランドが5年ぶりに復活することとなった。これは、ケンウッドの創立70周年、JVC(日本ビクター)の創立90周年、そしてJVCケンウッドの合併5周年を記念した事業の一環として発表したもので、同社はその記念モデルをJVC、ケンウッド、ビクターの各ブランドから発売する。

↑各ブランドから記念モデルが登場予定

 

↑コーポレートブランド「JVCケンウッド」の下にJVC、ケンウッド、ビクターの3つのプロダクトブランドを展開

 

復活することとなったビクターブランドは、JVCブランドとケンウッドブランドに当てはまらない、独創的な製品を展開することを目指す。

↑ビクターブランドの復活が告げられた

 

スピーカーで聴いているような音場を再現する「EXOFIELD」

その“復活第1号”となりそうなのが、この日発表されたヘッドホンでもスピーカーで聴いているような“自然な”頭外定位音場を実現する新技術「EXOFIELD」(エクソフィールド)だ。

↑ヘッドホンであたかもスピーカーで聴いているような音場の再現を可能にした新技術「EXOFIELD」

 

これまで、ヘッドホンで再現される音場はユーザーの頭のなかに定位する「頭内定位」だった。それを新技術では、聴く人それぞれの耳や顔の形状などの音響特性を測定した上で、各ユーザーに合わせた最適な信号処理を行い、ヘッドホン再生でありながら頭外に定位した自然な音場を実現する。これを同社は「頭外定位音場処理技術」として技術発表したのだ。この技術は5月13日・14日に開催される「音展」にも出展する予定になっている。

↑従来のヘッドホンでは音像が頭の中で定位してしまい、広がりのある音場は再現できなかった

 

↑ヘッドホンでも自然な音場を再現できる頭外定位音場処理技術「EXOFIELD」なら自然な音場が再現できる

 

この技術を利用するにあたっては、まず個々の試聴条件を測定することから始める必要がある。具体的な展開方法は明らかにされなかったが、同社によればスマートフォンアプリケーション等への実装も可能で、個人特性をインストールすれば場所を問わず屋外でもこの技術を楽しめるようになるという。また、ハイレゾ音源やマルチチャンネル音源も処理でき、ホームシアターやVRにおける立体音場での展開も視野に入れているようだ。

↑利用する人の耳や顔の形状を測定するための概念図。この処理をすることが利用の前提となる

 

↑耳内音響システムの装着イメージ

 

拡大成長を目指す新ターム“JK3.0”

発表会に登壇した同社代表取締役社長 兼 CEOの辻 孝夫氏は、3ブランドを軸とした記念モデル発売する背景について、「日本ビクターとケンウッドがそれぞれで活動していた2007年までを“JK1.0”、経営統合した2008年から2016年までを“JK2.0”時代、そして経営体制を新たにした2016年6月からを“JK3.0”時代」と定義付け、「JK3.0ですべてを一新した拡大成長の路線に入る」と今後の意気込みを示した。

↑ビクターブランドの復活について、その背景を語る同社代表取締役社長 兼 CEOの辻 孝夫氏

 

ここで辻氏が強調したのは、JK3.0時代として“尖った”ソリューションを提供していくということだ。「弊社は1万1000件にも及ぶ知財を所有するものの、現状は知財化されずに埋もれたままになっている。これを別視点で活用することで新たなイノベーションが創り出せる」。今回発表した「EXOFIELD」もその一環を象徴する新技術というわけだ。

 

辻氏は、1939年に日本ビクターが日本で初めてブラウン管型テレビジョン受像機を開発した事や、1976年に家庭用VHSビデオカセッター第1号機「HR-3300」を発売した事など、映像や音の分野でビクターが刻んできた数々の革新を紹介。その技術者魂を復活させ、今後へつないでいくと今後の抱負を述べた。発表会場にはそれら過去の名機がズラリと展示し、会場ではそれらを見て懐かしむ声が多く聞かれた。

↑1930年(昭和5年)に国産第一号の卓上蓄音機「ビクトローラ J1-80」

 

↑1976年(昭和51年)にVHS方式ビデオカセッター初号機「HR-3300」

 

↑HSのコンパクト規格「VHS-C」カセットを使ったビデオ一体型カメラ「GR-C1」。1984年(昭和59年)に登場