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もうすぐ4月。新しく会社に入る人や、転勤して新天地で生活を送る人もいるだろう。そんな人には、ぜひ手元の交通系電子マネー(ICカード)を見直してほしい。

○交通系電子マネーは定期券で使えるものを

交通系電子マネーの選び方の基準は、とても簡単だ。「定期券で使える電子マネーを使用すること」である。東京周辺で考えてみよう。中央線の三鷹駅周辺に暮らし、東京駅周辺で働くのならば、「Suica」一択だ。京王線の調布駅周辺で暮らし、新宿駅周辺で働くのならば、「PASMO」一択だ。

というのも、JR東日本(もしくはりんかい線や東京モノレール)ではSuica、地下鉄や私鉄ではPASMOが指定の交通系電子マネーだからである。

問題は、JRと私鉄・地下鉄を乗り継いで職場に向かう場合である。この記事が掲載されているマイナビニュースの編集部は、千代田区の竹橋駅に直結したビルの中にある。竹橋は、東京メトロ東西線の駅である。では、JR東日本の三鷹駅から、竹橋駅まで通うというパターンの場合には、どちらを選べばいいのか。

交通系電子マネーだけを使用するというパターンの場合には、どちらでもいい。定期券を電子マネーに乗せ、そこに2万円以内のお金を入れる。そのお金でコンビニで弁当や飲み物を買い、駅売店で新聞や雑誌を買う。あるいは、定期券外の移動にはそのお金を使用して運賃を払う。その機能に、SuicaもPASMOも変わりはない。

三鷹駅から中野駅まではJR東日本、中野駅から竹橋駅までは東京メトロ。交通系電子マネーはこういう定期券でも搭載可能だ。この場合、JRのSuicaを作るべきか、東京メトロのPASMOを作るべきか、判断に悩むべきところであろう。

定期券は、いまどきは自動販売機でも買える。JRも、東京メトロもだ。更新も、当然ながらできる。では、なにかあったときの対応を比較してみよう。

SuicaにもPASMOにも、残金がたりなくなったときのオートチャージができるクレジットカードがある。そのオートチャージの設定は、どちらが便利か。

JR東日本では、系列のクレジットカード・ビューカードのATMがある。そこでオートチャージの設定を機械的にすることができる。ただし、ビューカードのみだ。東京メトロでは、申込書で申し込み、案内ハガキにしたがって駅窓口で設定する。条件や金額の変更は、多機能券売機でも可能だ。この点において、Suicaのほうがやや便利か。

Suicaの強みは、ビューカードとリンクした場合に最大限に発揮できる。定期券のオートチャージ金額も多くの駅にあるビューカードのATMで簡単に変更できる。黒い多機能券売機で、かんたんにクレジットカードからチャージできる。

ただ、どちらの交通系電子マネーも、両方の区間でオートチャージができたりと、相互の使い勝手はよかったりする。筆者としては、Suicaのほうが使い勝手が若干いいとは思うものの、地下鉄や私鉄でのPASMOの便利さを考えると、好みのものでいいように思える。

○東京以外での交通系電子マネーの選び方

関西の場合は、事情が複雑だ。JR西日本や一部の私鉄が使用する「ICOCA」、多くの私鉄が使用する「PiTaPa」の2種類がある。ICOCAは前払い式、PiTaPaは入会審査の必要な、後払い式である。PiTaPaのみで定期券が搭載できるという場合以外には、ICOCAのほうが使い勝手がいいだろう。実際に、近鉄や京阪のように、ICOCAも取り扱っているところもある。

また、札幌市交通局や仙台市交通局のように、独自の交通系電子マネーを導入しているところもある。この場合は、定期券は専用の交通系電子マネー、買い物は「Kitaca」やSuicaなどの、全国でも使用できる交通系電子マネーと、2枚持ちするしかない。もちろん、もうひとつの交通系電子マネーは、出張して大都市圏に行く場合や、コンビニなどで使用する。

○交通系電子マネーの種類

交通系電子マネーには、SuicaやPASMO、ICOCAのように、全国の都市圏で使用可能なものと、札幌市交通局の「SAPICA」、仙台市交通局の「icsca」などのように、地域(というより、鉄道の乗車)でしか使えないものがある。地方の交通機関によっては、地域でしか使えない電子マネーのほかに、全国で使用されている電子マネーを受け入れているところもある。こういった全国的な交通系電子マネーの受け入れは、広まりつつある。

その意味でいうと、全国的な交通系電子マネーを1枚持っておけば、基本的には困らないのだ。もちろん、居住・在勤地域によってどのカードを選ぶかを考えよう。

なお、全国的な交通系電子マネーは、JR北海道の「Kitaca」、JR東日本のSuica、東京周辺の地下鉄や私鉄で使われるPASMO、JR東海の「toica」、名鉄や名古屋市営地下鉄などで使われる「manaca」、JR西日本のICOCA、関西の私鉄や公営地下鉄の「PiTaPa」、JR九州の「SUGOCA」、西日本鉄道の「nimoca」、福岡市交通局の「はやかけん」の10種類である。PiTaPa以外は、使用方法としては事前に券売機でチャージ(入金)しておき、それを使用するという形になる。PiTaPaは、コンビニなどの支払いで使えない場合も多い。

○クレジットカードとの併用で効果バツグンに

交通系電子マネーの場合、リンクできるクレジットカードを、たいていの鉄道事業者は発行している。そのカードでのみ、オートチャージが可能、というふうになっている。もちろん、ポイントは優遇される。また定期券の支払いも、そのカードでのみというところもある。

ただし、この記事が公開されるのは、まだ3月。会社によっては、何ヶ月もの研修を終えて、それからどこに配属されるのかわからないというところもあるかもしれない。配属先は都内各地どころか、全国各地という会社もある。それに合わせて、交通系電子マネーやクレジットカードのことを考えればよい。交通系電子マネーは、デポジットを払って使用しているという形なので、状況が変われば、窓口で返却の手続きをすればいいだけである。

とりあえずは、定期券とそれにふさわしい交通系電子マネーの使用のしかたを考えていこう。仕事に慣れるにしたがって、どうおトクな使い方をしていくかを、暮らしている路線と職場のある路線に合わせて考えよう。

著者プロフィール: 小林拓矢
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。大学在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道、時事社会その他についてウェブや雑誌・ムックに執筆。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に共著者として参加。
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(小林拓矢)