『嘘の戦争』(フジテレビ系、関西テレビ制作)最終回。一ノ瀬(草なぎ剛)の復讐が成功して、二科興三(市村正親)が過去の事件の全てを世間にさらけ出したら、隆(藤木直人)、晃(安田顕)、楓(山本美月)の二科三兄妹が不幸になる。もちろん復讐が失敗したらバッドエンド。このドラマ、どうやってもハッピーエンドにならないのではないか?そう思っていた。


最終話あらすじ


百田(マギー)と三瓶(大杉漣)の活躍で、一ノ瀬は警察を六車(神保悟志)に仕向ける事に成功。一番やっかいない相手を見事処理した。そして、いよいよ興三への復讐に取り掛かる。

一ノ瀬は、新たな事件の証拠をさらすと興三と隆を海沿いの別荘のような建物に連れ込む。ネット配信で全てを正直に話さないと、楓を殺すと脅した。事件の内容は話すものの、自分の非を認めない興三に一ノ瀬は怒りを覚える。配信を切った後に、泣きながら土下座する興三を無視し、楓が捉えられている小屋を爆破してしまう。

だがこれは録画した映像のトリックで、楓は無事だった。しかし、そこに警察が現れ、一ノ瀬は囲まれてしまう。突如ここで晃が現れ、一ノ瀬をナイフで刺すフリをして崖から海に突き落とす。晃は連行され、一ノ瀬は下で待ち構えていた百田に救出された。

それぞれの償い


詐欺師だらけのこの物語には、犯罪者はたくさんいても、本当の悪者は興三と六車しか残っていない。言ってしまえば、ほとんどがその被害者側の人間だ。しかし、そんな被害者たちも、30年前の事件に関して一ノ瀬に償いを行わなければならなかった。

まず、事件の証拠を一ノ瀬の父親から託されながらも報復を恐れて黙っていた三瓶だ。三瓶は、今度こそはと勇気を振り絞り、証拠を一ノ瀬に提出。そのおかげで六車をおびき出し、警察に突き出すことに成功した。

楓は一ノ瀬に何もしていない。むしろ嘘の婚約までさせられた完全な被害者だ。しかし、実の父親である興三がしたことに納得の行かない気持ちは強い。楓は、自らが人質になって興三に謝罪をさせることに協力。女として騙された気持ちより、人としての正しい行いを優先した。

30年前の事件の発端の晃。晃は不起訴になる可能性は高いものの、檻の中での贖罪を選んだ。物語を通してずっとカッコ悪かった晃だったが、最後の最後で一番おいしいところを持って行った。

そして隆だ。隆は、一ノ瀬への罪の意識とニシナコーポレーション全社員を守る事の間で、ずっと板挟みにあっていた。おそらくこの物語で一番苦労した人物だろう。今回の件を終えて、30年前の事件についてマスコミが連日殺到している。ニシナコーポレーションの評判は間違いなく下がってしまうだろう。しかし、それを受け入れ、さらに何もなかったと嘘をつき通す事で一ノ瀬への罪滅ぼしを決意。一ノ瀬から返してもらった新プロジェクトのデータが入ったUSBを希望の光に、会社を立て直す事を誓う。おそらく、今後も一番苦労のするのは隆だろう。それでもやることが明確になった隆は、今までに見せたことのない清々しい顔をしていた。

一ノ瀬は誰も本当の不幸に陥れることなく、復讐を終えた。二科三兄妹はそれぞれ思い思いの償いをする事が出来た。こうして「嘘の戦争」はハッピーエンドで幕を閉じた。

もう一つの戦争を期待


人気を博した「嘘の戦争」だが、物語の性質から続編は期待し辛い。それでも前シリーズ「銭の戦争」と合わせた“戦争三部作”として、もう一つの戦争が描かれる可能性は大いに期待できる。その時はまた、草なぎ剛の怪演を楽しみたい。

(沢野奈津夫)