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Googleに500億円以上の巨額で買収された後、人工知能技術を磨き上げ、囲碁の世界チャンピオンを破るAI「AlphaGo」や自分で学習できるAI「DQN」などを次々と開発し世界を驚かせる「Deep Mind」が、既存の電力インフラに手を加えることなくAI技術による最適化だけで電力生産コストを10%もカットするというチャレンジを行います。

DeepMind and National Grid in AI talks to balance energy supply

https://www.ft.com/content/27c8aea0-06a9-11e7-97d1-5e720a26771b

DeepMindは機械学習技術を活用することで、すでにGoogleのデータセンターの電力を15%も削減することに成功しています。この技術によってGoogleは今後数年間で数億ドル(数百億円)のコストを削減できると推測されています

Googleの人工知能専門チームDeepMindがたった数カ月で40%もGoogleデータセンターの冷却システムを効率化することに成功 - GIGAZINE



Google社内のインフラで電力コストの大幅減に成功したDeepMindは、AI技術の活用を国のインフラレベルに拡張しようとしています。DeepMindのデミス・ハサビスCEOはFinancial Timesに対して、「DeepMindは、National Gridや他の電力供給会社などと協議を始めています。彼らが抱える問題を理解して、新しいインフラを追加することなく既存のシステムを最適化するだけでエネルギー使用量を10%節約できれば、驚くべきことです。これはかなりエキサイティングな試みです」と述べ、イギリスの電力コスト削減にDeepMindの技術を活用しようとしていることを明らかにしました。

ハサビスCEOが述べる「National Grid(ナショナル・グリッド)」は、イギリスのイングランドやウェールズに送電やガス供給を行うエネルギー企業です。もとは国営企業だったNational Gridはイングランド中部を中心に膨大な送電網を所有しており、送電網や送電システム自体を改修することになれば、多額の費用がかかります。しかし、DeepMindはシステムの運用状況を解析し、機械学習によってシステムを最適化して、費用をかけずに電力コストを下げようというわけです。

イギリスでは、風力や太陽光を利用した再生可能エネルギーの発電を火力発電などの主要な発電システムに組み込むことを求める「エネルギーミックス政策」を導入しているため、近年、発電源の比率を決めバランスを取る仕組みは複雑さを増しているとのこと。人間では判断不能なパターンを見つけ出し将来を予測できる機械学習技術を導入することで、エネルギーを効率的に生み出せるとハサビスCEOは考えています。



National Gridは、DeepMindとの共同事業計画はまだ初期段階にあるとしつつも、「最新の技術によってパフォーマンスが改善し、再生可能エネルギーの最良の生産方法を確保し、利用者の電気料金を引き下げることはエキサイティングなものです」と、DeepMindの手腕に期待を寄せています。

イギリスに拠点を置くDeepMind以外にも、ドイツでも機械学習によってスマートグリッドを最適化して電力生産コストを低くする試みが行われており、今後、世界中の国のエネルギーインフラで最適化によるコスト削減が行われることになりそうです。