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●AWAやSpotifyと連携
ディーアンドエムホールディングスは14日、「HEOS by Denon」ブランドのワイヤレス・オーディオシステムを発表、あわせて体験会を開催した。AWAやSpotifyなどの音楽ストリーミングサービスに対応するほか、USBメモリやミュージックサーバ(NAS/PC)上のハイレゾ音源、スマートフォンと連係したBluetooth出力など多様な音楽再生をサポートする。

HEOS(ヒオス)は、ディーアンドエムホールディングスが推進する音楽ストリーミングの技術仕様であり、2014年に欧米、アジア・オセアニアから提供を開始し、「EISA THE BEST MULTIROOM SYSTEM 2015-2016」など多数のアワードを受賞、そのコンセプトとデザインは世界に広く受け入れられている。2016年5月に独ミュンヘンで開催されたオーディオ見本市「HIGH END」でHEOS対応製品を追加しており、そのうち一部が日本国内に導入された形だ。

今回日本向けに発表された製品は、ネットワークスピーカーの「HEOS 3」、ポータブルネットワークスピーカーの「HEOS 1」、そしてワイヤレスプリアンプの「HEOS LINK」の3モデル。HEOS 3はリビングなど広めの空間向け、HEOS 1は設置場所を選ばないよりプライベートな用途に、HEOS LINKはAVレシーバーやミニコンポと接続しての利用が想定されている。HEOS 1専用バッテリーパック「HEOS 1 GO PACK」も用意される。

最初に登壇したディーアンドエムホールディングス ジャパン・セールス&オペレーション プレジデントの中川圭史氏は、「ホームエンターテインメントをもっと心地よく、もっと楽しく」という製品コンセプトに触れたうえで、HEOS対応製品のユースケースを紹介。昨秋発売のAVレシーバーにもHEOS機能が搭載されており、今後続々とHEOS採用製品が発売されるという。

続いてのデモでは、HEOSアプリを利用したマルチルーム再生を紹介。1台のスマートフォンで複数のHEOS対応製品に再生指示できるだけでなく、HEOSアプリを複数のスマートフォンにインストールしていれば、それぞれのスマートフォンから1台のHEOS製品に曲を追加したり、音量を調整したりできるという。音楽再生中に着信があったときでも再生が中断されない、電話の呼び出し音がスピーカーで鳴らない、という点もBluetoothスピーカーと比較したときのメリットとして強調された。

製品とあわせ、音楽ストリーミングサービス「AWA」への対応も発表。5月24日に実施予定のファームウェアアップデートにより、スマートフォンのHEOSアプリを利用してAWAの音楽を再生できるようになる。AWAではStandardとFreeという2つのプランを提供しているが、HEOSアプリではStandardプランのみ提供される。

AWAは2015年5月にサービスを提供開始し、2017年3月現在1,200万ダウンロードを数える。提供曲数は3,000万以上、プレイリストは800万以上と国内最大規模であり、顧客層の54%が男性、30〜40歳層が高い割合を占めるという。エイベックスとサイバーエージェントの共同事業ということもあり、Spotifyなど海外資本のサービスと比較すると邦人アーティストの多さが強みとなっている。

今回発表された「HEOS 3」などの製品群はハイレゾ再生に対応していることから、発表会終盤の質疑応答ではハイレゾ配信の可能性について訊ねられたが、「ハイレゾは容量が大きく現時点では難しいが、安定した帯域の確保を含め技術開発を進めている」(AWA 取締役/プロデューサー 小野哲太郎氏)とのことで、近い将来実現される可能性もありそうだ。

●レイテンシの少なさが売り
発表会終了後の体験会では、実際に「HEOS 3」などの製品に触れることができた。その際、Bluetoothスピーカーや、他メーカーが採用しているマルチルーム配信機能と比較したときの特長や優位点についていくつか訊くことができたので、かんたんに紹介しておこう。

HEOSの音楽再生はTCP/IPの利用を基本とし、楽曲データはWi-Fiで転送される(HEOS LINKは有線LANにも対応)。Bluetooth/A2DPではロッシーなコーデックで再生することになるが、HEOSでは最大192kHz/24bitのリニアPCM(WAV)およびロスレスコーデック(FLAC/ALAC)で再生できる。

他のマルチルーム配信機能との比較に関しては、レイテンシの少なさが売りだという。再生/停止などの操作指示から実際のアクションまでのレスポンスの速さ、いわば"操作のサクサク感"を重視しており、そのような方針のもとソフトウェア開発を進めているとのこと。

実際、10数メートル離れた場所にあるスピーカーに対し再生指示を出したところ、ほぼタイムラグを感じさせずに曲の再生が始まった。音量調整についても、スライダーを左右へ操作すればたちどころに音量が変わる。グルーピングの処理にしても、十数台ともなれば多少待たされるが、2、3台規模であれば一瞬で完了する。ネットワークやWi-Fiといった言葉を意識させないという点で、ネットワーク対応/マルチルーム化が進むポータブルスピーカーのベンチマークとなりうる製品といえるだろう。

(海上忍)